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LUZの熊野古道案内

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2009年 06月 13日

熊野の旅 波田須道 大吹峠

 『熊野古道』に『大吹峠』と言うのがあります。
 新鹿から波田須に出て、そこから山越えで大泊に抜ける道です。
 徒歩で伊勢街道を往来する人はこの峠を越えたものです。
 この、徒歩の時代の街道からは「磯崎」とか「井内浦」は外れていました。
 今の国道311号線が作られたときに、岬の付け根で峠を越える自動車道として作られ、各集落をカバーするように考慮されました。
 この道路は幹線道路として作られた物ではなく、巡航船でしか結ばれていなかった海岸線・陸の孤島を解消するための物でしたから、当初できたときは細く、くねくねし、急坂も多い大変な物でした。
 まともな車など入れない代物でした。
 この道は『波田須道』とか『新鹿道』と呼ばれ、悪路の代名詞的に使われていました。
 昭和50年代くらいから少しずつ改良され大型バスも何とか新鹿までは入れるようになったのですが、中間の「井内浦」の区間は未改修区間として残り、難所でした。
 この区間の改修計画の中には『大吹トンネル』を抜いて大幅に短縮しようと言う物もありましたが、長大トンネルを開けるほどの路線でも無し、磯崎も取り残されるので採用はされませんでした。
 改修は元の路線のコースを踏襲しつつ拡幅改良を加えてきました。
 長年工事をしましたが、何ともならないで残ったのが「井内浦」地内でした。
 そして、今週の初め、この区間の改良が完成し供用開始されました。
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 この立派な『磯崎トンネル』がメインになる恐ろしく立派なバイパスが出来上がりました。
 「磯崎」の峠を越えたところから旧道と分かれて少し高いところを突っ走ります。
 ほとんどが桧山だったところを通っています。
 所要時間は2分も掛かりません。
 そして、短縮された時間も二分くらいでしょうかね。
 それにしても、こんなに立派な道とはねえ・・・という感じですし、近年の公共工事共通の意味も無い飾りがトンネルの入り口に作られていますね。
 両方の入り口の飾りだけで余分な出費が・・・

 なぜ、この区間が大幅に遅れたか・・・
 それは、『中部電力・熊野原子力発電所』の計画とも関係があります。
 この道路の真下に、『原発』ができる予定でした。
 もう、半世紀も前に地図の上に丸い印がつけられ、候補地となってから、どこででも見られたことですが、反対派の『一坪地主運動』と賛成派?の金目当て『にわか地主』が周辺の土地を虫食い状に買いあさりました。

 『熊野原発』は無事に阻止し、地図からも印が消えました。
 でも、虫食い状のバラバラ状の土地は残りました。
 中には企業でガバッと買い上げて原発に備えた所もありましたけどね。
 この虫食いが年が経って相続があったり、未相続のまま放置されたり・・・
 最悪だったのは、元の国道自体が道路地図や国土地理院の地図にはあっても、土地台帳の図面には無かったのです。
 『未登記』の道路だったわけです。
 半世紀前なら、又々、未登記のままずるずると工事ができたのでしょうが、今では、地籍を確定しなくてはなりません。
 そのためには、該当する土地だけではなく、隣接地の地主の立会いが要ります。
 同意なくしては道路を確定する測量もできないということも行きます。

 この道路は「三重県」が管理する国道で、工事計画なども「県」が「代行していました。
 三重県もこんなどうでも良い道の地籍調査などには予算も人員も割いてくれませんでした。
 そこで財政法上は少し疑念もありますが、『熊野市』から職員を一名派遣してこの「井内浦地内」の地権者確定作業に当たらせました。
 その職員さんは懇意にしていた人ですが・・・
 出向してしばらくして・・・
 『なんともならんで・・・』と、ぼやいていました。
 何しろ、戦時中に開墾した部分が分割登記され、『山林五坪』なんてのまであるし、ほとんどが相続未完了、不在地主。
 つまり、子から孫まで追いかけないといけないと言うことです。
 事実上、全く価値のない土地になっていますから、追いつけば同意はもらえるのですが、全国に散った何百人もが対象になるからです。
 もちろん、消息のつかめない相続人も一杯居ますしね。

 まあ、こんな具合で、旧道の位置確定もままならず・・・
 新しい道は、一段上げて、なるべく細切れの段々畑のない、そして、うるさい地権者のところから離して線が引かれました。
 そして、工事に着工してからは3年ほどでできました。
 準備に10年ほど費やしましたね。
 旧道は残されることになっています。
 綺麗な景色は旧道でないと見えませんね。

 かくして、悪路の代名詞、『波田須道』はそのうち『立派な道』の代名詞になるかもしれません。

 そうそう・・・
 旧道周りの地籍がどうなったかは、私も今は知る立場に無いので分かりません。
 おそらく全部は確定していないでしょうね。
d0045383_109715.jpg


カメラは

 レンズはシュナイダー・クロイツナッハ クルタゴンC 35mm f2.8 ドイツ

熊野市周辺地図です

by je2luz | 2009-06-13 10:21 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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