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LUZの熊野古道案内

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2009年 02月 14日

熊野の旅 暖冬

 今年は『暖冬』のようです・
 この言葉が使われだしたのはかなり前ですが、最初のころには『暖冬異変』と、『異変』と言う言葉がついていました。
 つまり、昔に比べ異常なくらいの変化がたまにおきていたからでしょうね。
 それが、平均気温自体の決め方が割合と短い年月出の算出なのでじわじわ上がってきてしまいます。つまり、少しくらい高くても『異変』ではなくなってきたのでしょう。

 私が子供だった半世紀前に比べても、今の冬は暖かいです。
 山間部に雪が降ることも減りました。
 暮らしよくなったと言えばそのとおりなのですが、怖い話です。

 まだ二月の中頃、一番寒い季節のはずなのですが、今日もぽかぽか陽気です。
 先日『黄砂』が日本に飛来したとか言っていました。
 こう暖かくなると、七里御浜には『春霞』がたなびき始めます。

 七里御浜の春霞
 洋々として 若人の
 希望に似たり 真帆片帆
 ・・・・・・

 佐藤春夫が木本高校のために書いた校歌の出だしです。
 戦後に出来菜物なのに、校歌らしく古臭い文句が並びます。
 「真帆片帆」などと言われても、今では『機帆船』も走っていませんし、小さな漁船でも帆を張るものはほとんどなくなっていますからこれの分かる人はほとんど居ないでしょうね。
 校歌が出来たころでも姿を消し始めた情景でしたからね。

 陽気が良くなると、七里御浜は良い場所です。
 波打ち際に座ってぼんやりするには一番の季節です。
 春霞が海から陸へたなびいて、景色がぼんやりしてきます。
 寝っ転がると青い空に色んな形の雲がゆっくり流れて・・・
 他の季節とは違う雰囲気です。
 熊野灘が一年中で一番のんびりしている時期です。

 昔は前を走る漁船が『ポンポン船』でした。
 『焼玉機関』と言われるジーゼルの変形みたいなエンジンで、排気筒からドーナツのような輪になった煙を吐き出し、『ポン・ポン・ポン・ポン』と軽やかな音を立てながら走ったものです。
 低速回転のエンジンで、へさきを持ち上げて走るような馬力はありませんでした。
 この『ポンポン船』のエンジン音が、日本の漁港や隅田川などを走るはしけなどの情景になっていたのです。
 昔から絵本の小さな船は「ドーナツのような煙」を吐いていたものです。
 今のジーゼルエンジンの、『ドドドドドーーーッ』と言うエンジン音では、港の情景も味気ありません。
 まして、七里御浜でのんびりしているときにはふさわしくないですけどねえ・・・

 気候の良いときは、あくせく歩き回るより、のんびりと七里御浜で昼寝した方が熊野らしいかも知れません。
 ひょっとすると夢に『八百万の神』から『諸仏・世尊』・・・『夜叉に鬼』まで出てくるかもしれません。
 何しろ、観光寺や都市部にすんでいる者に比べたら、このあたりはのんびりしていていて、そうしたものも暇でしょうからね。
熊野の旅 暖冬_d0045383_12402794.jpg

 カメラはツァイス・コンタフレックスIV・プロテッサー35mm

熊野市周辺地図です

by je2luz | 2009-02-14 12:43 | 熊野


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