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LUZの熊野古道案内

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2009年 02月 01日

熊野の旅 大又川 5

 続けて『大又川』を取り上げてきましたが、この川は国道42号線が熊野市に入ると同時に併走し始め、国道がまっすぐ海に向かう飛鳥町小坂で分かれます、それから下流は国道309号線が併走する形になります。
 『七色ダム』の湖水の始まるところまでずっと道路がそばにあります。
 道路と川原の高さのさもさほど大きくないので、あちこちで川に下りることは可能です。

 前にも書いたように、昔はこの川の水を生活に利用してきましたから、小さな集落ごとに何箇所か降りる道が確保されてきました。
 そうした場所には『ナベラ』が顔を出し。水辺に近づきよくなっています。
 そういう場所は『洗濯場・せんたくば』などと呼ばれていました。
 洗濯機のなかった時代には「アルルの洗濯女」じゃないですが、大又川の洗濯場ではおばさんたちが洗濯していたのです。
 ナベラの石は御影石ですからあまり角張らずごつごつしていないので、『洗濯板』の代わりもしていたようです。
 『岩』ではなく『岩盤』ですから洪水で場所が変わってしまう心配もないですからね。
 それに広いので、シーツなどの踏み洗いにも使えるし、糊をしたシーツを貼り付けて乾かすのにも使えました。
 夏になると焼け入ってはだしで歩けないくらいですから、それこそ、あっという間に乾きます。
 このシーツ干しは木本では七里御浜の砂利浜が使われていたのです。
 飛鳥の川原も使われなくなっていますが、木本の浜も今では使われませんね。
 木本のほうは汚れが目立って、シーツを広げて貼り付けられないようになってしまいましたしね。
 
 大又川の洗濯場に人が降りることもほとんど亡くなってしまったので、川原竹の林を抜けていた通路なども塞がりかけてしまった所が多いようです。
 川と生活の縁が切れてくると、川を大切に思う気持ちが薄れてしまって当然です。
 井戸がポンプになり、その次は自分たちで山から引いた自家用水道になり、最後は市で引いた簡易水道になり・・・便利できれいな水が大量に使えるようになりました。
 でも、日本のほとんどの田舎には『下水道』がありません。
 水が便利になるとともに川が汚れてゆくのが『日本流』なのです。
 それでも、流域人口の少ない『大又川』は清流に住む魚がまだ残っています。
 それに、これ以上汚れが進む心配はありません。
 あと20年もすれば人口は半減すると思いますからね。

 車でこちらにこられても、何も考えないで『大又川』の横を走ってしまうと思います。
 ほんの少し時間に余裕があったら、道の駅『熊野きのくに』に車を停め、すぐ横の親水公園で大又川に触れるとか、適当なところで昔の『洗濯場』などを見つけて降りてみるとかしてみてください。
 国道42号線の場合は対岸にわたると降りる場所が多いです。

 大河にはない、人間と触れ合ってきた『川』がそこにはあります。
 ドライブの疲れがすっと消えると思いますよ。
熊野の旅 大又川 5_d0045383_12232561.jpg

熊野市周辺地図です

by je2luz | 2009-02-01 12:21 | 熊野


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