最近のテレビでは、まるで外国の話のように報じられている『ダイナマイト漁』などの漁法は日本でも禁じられている漁法です。
しかし、戦後しばらくは日本でも行われたのです。
小さな川ではさすがに『ダイナマイト』は使われませんが、他の方法として『カーバイト爆弾』『バッテリー漁』『農薬使用』などの方法があり、各地でたまに摘発されました。
詳しい手法を書くと具合が悪いですが、「カーバイト」は今ではほとんど知られていませんが、「発発」といわれる携帯用の発電機が普及するまでには夜店などで照明用に普通に使われていた物です。
CaC2という成分で水と反応してアセチレンガス(C2H2)を発生する物です。
『夜店』というとこの明かりを思い出す人もまだ居られると思います。
この水と反応してガスを発生すると言う性質を利用した爆弾を使ってダイナマイト漁のようなことをやったのです。他に必要な物はこれまた昔懐かしい清涼飲料水のビンだけです。
爆発音もダイナマイトほど大きくはないし・・・でも、作っておいて持って歩くことの出来ないものです。作成から爆発までの時間制御もままならず、爆発事故で大怪我をしたりもあったようです。
この辺の川でもこれによる密漁が昔はありました。
「バッテリー漁」は随分後までやられていたようです。
何しろ車が普及して身の回りにバッテリーがふんだんにある時代に入りましたからね。
軽四輪のバッテリーとほんの少しの電気回路で作れますし、近づかないと普通の『夜取り』との区別は付きませんからね。
電気ショックでしびれて死に掛けの『ウナギ』などを『鰻鋏み』で捕まえるのですから、岩を金てこで動かし出てくる鰻をモリで突くのと違い、一人で出来るし傷の無い獲物が獲れます。
もちろん禁じられています。
この漁でも、自分が感電する事故は発生しています。
「農薬漁法」は普通に考えると、その魚を食べるのは嫌な物ですが、今のように愉快犯とかいたずらではなく魚を取るのが目的でやられたものです。
これが一番悪い密漁でしたね。
目的外の魚も下流にかけて大量に死にますからね。
昔は川の水が洗い物から飲料にまで使われましたから最悪の方法でした。
こんなような違法な漁法も日本中で横行していたのです。
ひもじかったのもあるでしょう。
『順法』という観念も乏しかったこともあるでしょう。
しかし、そうした道を日本も通ったのです。
ほんの半世紀ほど前の話です。
清流『大又川』もこれらの漁すべてを経験してきた物です。
それでも、今よりはみんな川を大事にしました。
川がもっと身近にあったと思います。
子供たちは年の百回は川原に降りたし、大人でも年中川原に降りた物です。
熊野市周辺地図です