LUZの熊野古道案内

je2luz.exblog.jp
ブログトップ
2008年 12月 20日

熊野の旅 昔の食べ物 サツマイモ 2

 『サツマイモ』は他の野菜に比べ、少し痩せていて、少し乾き気味のところのほうが美味しいのが出来ます。
 肥えていて湿気もあるほうが大きくは育ちますが、ちょっといじめられた方が中味が濃くなるようです。

 熊野市では磯崎町産が美味しいとされているようです。
 磯崎には平らな農地はありません、
 急斜面に造られた段々畑で赤土気味のものです。だから、痩せていて乾き気味ですから美味しくなるのかと思います。
 磯崎では名産として売り出そうとしたこともありますが、如何せん、農地が無いくらいですから生産量が目茶目茶少ないです。おまけに、急斜面の段々畑で農作業も大変で能率も悪いです。さらに、小さな漁村ですから、本物の百姓さんも居ませんし、老齢化が進んで植える人も減る一方です。
 『磯崎の芋は美味い』などと聞いても手に入らないものみたいです。

 サツマイモは寒さに弱いです。
 名前が『サツマイモ』と言うくらいですから、南方から渡来したものが『薩摩』を経由して広がった物ですからね。
 この海岸線だと、屋内で箱に入れ籾殻や新聞紙で保温して置けば冬を越します。
 しかし、山間部に行くとそんなことでは冬は越せません。
 温度が下がると、『しびる』のです。
 『しびる』と、中が茶色くなり溶けて来ます。ほんの少し色が変わっただけで苦くなって食べられません。

 皆がサツマイモを栽培し、大切な食料にしていた時代、山間部では『芋つぼ』と言われる物が各家にありました。
 納屋の床下を掘り下げて一杯籾殻を入れたもの、家の裏の山が南斜面のときは、その斜面に穴を掘り籾殻を入れたものなどで、入り口は厳重に蓋をしていました。
 まるで、芋専用の防空壕みたいなものでしたね。
 いまでも、山に掘られた『芋つぼ』は結構残っています。
 もう、芋は入っていませんけどね。

 この『芋つぼ』は、大量の籾殻と地熱を使って温度を保つ物です。
 籾の中に芋が散らばっているのですから、探すのも大変です。
 最初は上の方、入り口の方ですから簡単ですが、今のように5本とか10本とかの量ではないですから『芋つぼ』も大きな物です。人間が入って動き回れるような物ですから、おしまいのほうは宝探し状態でした。

 こうして保管してあるサツマイモは色んな食べ方をしました。
 昨日書いた、『芋粥』は割合と時期は短かったです。
 他には、『焼き芋』『ふかし芋』『天麩羅』が定番なのは今も変わらないでしょう。
 おやつ、お菓子の無かった時代には、『干し芋』を造りました。
 これは今では結構お高い嗜好品になって、あちこちの特産品館などで売っていますね。
 芋を蒸かして輪切りにし、乾かした物です。
 少しの時は長けざるに広げ、多いときには藁に通して軒下にぶら下げて乾かしました。
 乾いてくると飴色に変わって段々粘り気も出て固くなってきます。
 歯が丈夫でも噛み切れない状態になることもあります。
 そのまま食べても美味しいですが、ちょっと焼いて食べると香ばしくて美味しい物です。
 この『干し芋』を『かんころ芋』と呼ぶ人も居ましたね。

 この干し芋も、干し柿同様、寒い所でしか上手く行きません。
 山間部なら簡単に出来ますが、この海岸線ではカビが生えて駄目になります。
 なんでも軒先にぶら下げると言う光景は寒い所の物ですね。
 だから、日本の田舎の原風景は北国の方のイメージになるのかもしれません。
 いまでは、特産品として作る人は居ますが、一般には造られませんね。
 第一、この『干し芋』をかじれるほど歯の丈夫な年代が居なくなってしまいましたからね。
 歯の無い人だと、一日しゃぶっても減らない代物ですからね。
d0045383_12123956.jpg


木本町全図です

by je2luz | 2008-12-20 12:13 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://je2luz.exblog.jp/tb/9086268
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]


<< 熊野の旅 昔の食べ物 夏みかん       熊野の旅 昔の食べ物 さつまいも 1 >>