LUZの熊野古道案内

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2008年 11月 13日

熊野の旅 林業 3 間伐

 近年では林業不振・山林荒廃が話題になると、『間伐』のことが良く取り上げられ、テレビでも放送されたりしています。
 まあ、かなり的外れなレポートもありますが、『間伐』が行われないのでどんどん山が荒れてきていることは間違いありませんね。

 杉でも桧でも植える時は一杯植えます。
 全ての苗が全部活着し、素直にすくすく伸びるわけではありませんから、たくさん植えてその中でいい物を残してゆく意味もあります。
 さらに、山と言う物は、伐採が終わって二三年すると、雑草がものすごい勢いで伸びてきます。ついでに、雑木も伸びてきます。
 植えつけた時で30Cmとか・・・二年経っても50~60cmとかの苗ではその中に埋もれてしまいます。
 杉桧のような常緑樹の足元は日が当たりにくいので雑草は嫌います。だから、たくさん植えて少しでも雑草の勢いをそぐ意味もあります。
 5年7年と経ってくれば、杉桧は自分の足元を日陰にして下草が生えにくくします。
 その時にはたくさん生えているほうが有利なのです。
 だいいち、この辺のような暖地では下草の伸びが速いので、下草の処理・山刈りのコストを少しでも下げなくては大変です。

 こうして、密植しておくと、早く杉桧が領域を確保できるのですが、今度は成長と共に枝を張りますからその枝と枝が触れ合うようになり、競争が始まります。
 これは、いい面があり、木同士の競争で太陽の光をたくさん受けようと、どんどん上に伸びようとします。つまり、すらりとした背の高い木が増えるのです。
 しかし、その限界を超えると、枝の張りようが無い空間になってしまい、中に枯れる木も出ますし、仲間を殺す前には全体の木の成長が止まってしまいます。
 そのためには、人の力で木の数を減らさなくてはなりません。
 木と木の間を広げ、良さそうな木を残して切って行きます。
 目安は5年~10年枝が当たらない程度、足元に光が入る程度・・・と言うことです。
 木が小さい時は小さいなりの空間を確保するのです。
 広すぎると上に伸びたがらなくなったり、雑木がやたらと伸びて杉桧は負けてしまいます。それを防ぐ山刈りの手間が増えるのです。

 木が小さい時には、こうして倒した木はお金になりません。『切捨て』になります。
 かかった費用は全く回収できません。
 山の成長具合と密植具合によりますが、背の高さの倍くらいで最初の間伐が始まり、それから先は枝がぶつかり始めるたびに間伐するのが良い木を育てる道なのです。
 昔は15年とか20年の間伐は、足場丸太として売れましたから、便利のよい山でよく伸びた木はお金に変わり間伐の費用を生み出しました。
 しかし、もう、30年も前から足場丸太は鉄製足場に変わってしまい売れません。
 そして、昔は30年40年と言う間伐の時の木はきちんとした材木として山から出されて製材されました。
 人件費が安かったのと、材木の価格が良かったからです。
 このころなら、間伐をして少しお金が残ったのです。

 材木価格の低迷・下落が始まった頃から。『間伐』に補助金が出始めました。
 しかし、地方によって随分差がありました。
 どんどん下がってしまうと、補助金を貰って間伐しても、不足分を山主が出せなくなりました。
 そして、近年ほど下落が激しく、長くなると、伐採期になっても金にならない物を育てる余裕など無くなってしまいました。

 間伐がされず、真っ暗になった枯れ木混じりの山が延々と増えています。
 かつては熱心な林家で美林を育ててきた家の山もどんどんそうなっています。
 最後の間伐は30年50年の時期になります。
 そこまで育ててきても、最後の手入れが出来ないと、その先で木の勢いが衰えてしまいます。
 若いときに伐採した山の手入れが終わるのは年をとって引退する時なのです。
 こんな気の長い話の繰り返しで日本の山は守られてきたのです。
 しかし、今の材木価格では・・・
 そして、儲けさえすれば・・・という社会になってはとても維持できませんね。
 面積の80%も90%をも山林の占める日本の田舎では、経済基盤が無くなり、生きることも出来なくなったのです。
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木本町全図です

by je2luz | 2008-11-13 11:41 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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