下の写真は熊野川の支流、『大又川』、熊野市飛鳥町小阪地内のものです。
『大又川』は洪水の時以外は全く濁りの無い清流です。
『水中生物調査』でもきれいな水にすむ生物の多い川です。
この写真を見て、昔の『大又川』を知っている人なら、『変わった』と思われるはずです。
水辺まで下りれば昔と変わらないきれいな水が流れ、『なべら』も『岩』も『ごろ』もそこにはあります。
『なべら』は「滑」の変形でしょうか、露出したつるつるの岩盤です。
『ごろ』はゴロゴロ転がっている一抱えから野球のボールくらいの丸い石ころの集団です。
これらが組み合わされれ、『ドンボ』や『セ』を交互に作り出しているのが大又川です。
『ドンボ』は『淵』のことです。数は多くないですが、水泳場になっていることが多いですね。
『なべら』は固い岩盤ですから水中では『鮎』の好物の苔が生えますが、水から出ると当然何も生えません。
『ごろ』で水中にあるものは水中動物や鰻の住処になります。
この『ごろ』は砂防ダムなどの影響でしょうか少し減ってしまい、砂や泥が間に入って層が浅くなってしまいました。
昔はこのごろ石は厚みが1mほどもあり、下の砂地まで掘って鰻を取るのは大変でしたが、今では見かけは『ごろ』でも一並べ程度石があるだけです。当然、鰻の住処にはなりません。
水中の『ごろ』がその通りなので、水から出た部分の川原でも同様です。
昔は猫柳やアシノコ(葦)が根を下ろすにはそのごろ石の層を通りこさなくてはならなかったのですが、今ではすぐに砂の層に根を下ろせます。
それに、生活廃水が入るようになって、川自体が『富栄養化』しています。
だから、ごろ石の川原だった部分は猫柳やアシノコで覆い尽くされてしまいました。
その結果、川を上から撮影すると全く白い部分がなくなっています。
この状態になると、水遊びの時に水から出て移動するのが出来なくなります。
はだしでこんな草むらを抜けるのは危ない物です。
周りは山ばかり、『マムシ』は水辺が大好き・・・なのです。
本当は困った情景なのですが、日本の河川はこんな物が多いので普通のように見える人が多いと思います。
考え方では、この草むらは富栄養化した大又川の証でもあり、それを一生懸命浄化している自然の助っ人でもあるのですがね。
農家に『牛』が居たら、牛の大好物のアシノコは刈り取られますから、もう少しましになっているでしょうけど・・・
カメラは
オリンパス・ワイド
木本町全図です