熊野古道が世界遺産になり、お役所とマスコミは一大観光地の出現とばかりにはしゃぎましたが、現実は、昔の国内旅行華やかなりし頃にすら戻れませんでした。
昔は日本中不便でした。
『旅』は近代になって鉄道が敷かれてからも、のんびりと車窓から景色を眺めながらまだ見ぬ土地へ向かった物です。
それこそ、『噂には聞いたことはあるけど・・・』とか『絵葉書では見たことがあるけど・・・』と言う土地に行く楽しみがありました。
いまでは、行ったことの無い土地でも、景色や食べ物、名物まで何となく知っているような気になるほど色んなメディアで報じられています。
その結果、特別目新しい所もあまり無くなってきたのです。
さらに、やたらとせっかちになってしまった旅人は、『道中』を楽しむことも減ったようです。
汽車の窓から駅弁かって・・・なんて無いのですからね。
大体、4時間も汽車に乗っているなんて少なくなったのですから駅弁を食べなくてもね。
ここ紀伊半島は決して交通の便がいいわけではありません。
有名な知事さんが嘆いている宮崎県よりもっと不便なくらいですからね。
国内旅行でも飛行機を使いたがる人にすれば、宮崎のほうが便利なのではないでしょうか?
鳴り物入りで出来た、『関西空港』『セントレア』ともに地の果てにあります。飛行場に着くまでに半日かかります。当然、リムジンなんて物は人の居ない田舎から走っているはずもありません。
一番近い『白浜空港』まででも家から110Kmです。3時間ですね。それだけ掛けていって行き先は東京だけ・・・チェックインからフライトなどで2時間以上かかりますから、何だかんだで6時間無いと東京都心には着かないってことです。それなら、汽車の方が・・・
『熊野古道を歩いてみたい』と言う方も結構居られるようですが、実際にか御輿を上げられないのは、先に書いたように来なくてもある程度分かるってこともあるでしょうし、この交通事情もあるでしょう。
さらには・・・『熊野古道にしかない物』って本当にあるのかどうか???
せっかちな旅人には『神々の里』なんて感じる暇も無いでしょう。
神だ仏だと言うなら、奈良・京都の方が手っ取り早く具体的に目に見える仏や神が居られます。
山なら日本中山だらけです。
『目張り』『サンマ寿司』なんてのは来たついでとか、物産展で見かけたら食べて見る程度の貧乏人の食い物です。『越前蟹』や『米沢牛』のように、食うために金をかけて出かけるほどのものではないです。
来いと言うのもしんどい話ですが・・・
ここから、旅に出るのも大変なのですよ。
何しろ。外科医に面した出口までがねえ・・・
この頃の旅はのんびりしていたのですがねえ・・・
1960年ごろの記載本線(紀勢西線)湯川駅です。
機関車は C56232 のプレートがあります。
更新しました・こちらもどうぞ…