方言には実に色々ありますね。
方言によって気質が左右されるのか、気質によって方言が変わるのか・・・
漁場などの言葉はおおむねきつめで、さらにそれを大声でしゃべりますね。
よその人が聞くとけんかをしているようにも聞こえるようです。
この熊野でも、背中合わせに住んでいる、山間部の人と、漁場の人では随分と言葉も気象も違います。
まあ、こうした物も、段々と均質化されてきているようですね。
山間部で時々耳にする言葉の一つに・・・
『へでも のし・・・』 と、いうのがあります。
これが出てくると、話し合いがややこしくなる合図です。
意味はご推測のように・・・『それでもねえ・・・』 と言うような言葉なのです。
会合などではほとんど自分の意見を言わないことの多い田舎で、この言葉が出るときは実に厄介なのです。
大体において。ほとんど話が煮詰まった頃に、黙って座っていた人の口から出る言葉です。
そして、こうした言葉の後に続くのは・・・
『わしゃあ かまんのじゃけど 他の人は・・・』 と言う言葉です。
チビまるこのナレーション風に言うと・・・
『一番かまっているのは本人なのである!』 となるのです。
他人の意見と言うことにして発言するのですから、口寄せの代理人たる発言人ではその異議を撤回することも出来ない訳です。実に巧妙な反対意見の陳述と言うことです。
さらに、これを合図に不規則発言が会場を埋めるのです。
つまり、この発言が出るということは、寄り合い・会合が堂々巡りを始める合図のような物なのです。
このような言葉は他の地方にもあるのでしょうね。
ちなみに、この辺では請われるまで自分の意見を言わないのが『賢い人』の流儀だそうです。
さしづめ私のような人間は『おっちょこちょいで阿呆な人間』、もしくは、『しゃしゃり出る生意気なやつ』の典型なのだと思います。
それでも・・・
『へでも のし・・・わしゃあ かまんのじゃけど・・』 と、前置きしてしゃべりだすよりはましだと思うのですがねえ・・・
カメラは
アグフア・カラート36
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