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LUZの熊野古道案内

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2008年 03月 15日

熊野の旅 熊野・山間部の春

 いつも書きますように、ここ熊野市は平成の大合併以前では全国でも広い方の面積を抱えた地方自治体でした。そして、黒潮の洗う温暖な海岸線地帯と、紀伊連山の山懐に抱かれて湯たんぽのような海から切り離された山間部があります。
 海岸線には漁村が点在し、山間部には山村が点在するのが昔のこの地方でした。
 近年は、海岸線でも漁村は衰退し、山間部では林業が疲弊して、いかにもそれらしい風情は薄れて行きました。

 気候の面で随分差があるので、春の訪れも随分ズレがあります。
 畑の作物でも、海岸線は秋の彼岸頃に蒔いた「サヤエンドウ」などは2月頃から花を咲かせ、今の3月の中頃になると、収穫の最盛期に入ります。もちろん、ハウスとかではなく、露地栽培での話です。
 同じ時期に、種を蒔いた「サヤエンドウ」でも、山間部になると、発芽して10cmほどになった時には霜が降り始め、成長を止めたままでじっと地面に這いつくばって春を待ちます。ちょうど、これくらいの時期になると、思い出したように成長を始めます。開花して、収穫に入るのは4月の中頃以降です。
 かくかように、気候が違うのです。
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 山間部の春先は、昔なら『田起し』が始まり、麦田では麦がどんどん伸び、川原では猫柳が花を咲かせます。
 山の仕事では、『杉苗植え』の時期になります。
 『杉苗植え』と言っても、『杉』だけではなく『桧』も植えるのです。
 桧の苗は乾燥に強いので、たくさん束ねたやつを少し地面を掘って根っこに土をかぶせて、植え付けの日まで保管します。
 杉の苗は乾燥に弱いので、現地に持ち込んでから、近い谷を使って、根っこを水に浸けて保管しなければなりません。
 春先は乾燥期にもなり、水の確保も大変なのですが、昨日のような豪雨が何年に一回か襲ってきます。
 台風の時は、川や谷の水が増えるのが予測できますが、春先の雨は降り出すまで、豪雨か嬉しいお湿りか分かりにくいのです。だから、夜中に降られると、『杉苗』の退避が出来ません。台風並の増水で『苗』が流され、その年の植林に支障をきたすこともあったのです。
 林業が疲弊して、価値の下落した材木で収入を得るために、昔とは比べ物にならない面積を伐採し、植林や育林をすることも出来ないので、こうした春の山仕事も減っています。
 だから、昨日の豪雨でも、杉苗を流した現場もほとんど無いと思います。
 被害が少ないのではなく、『杉苗植え』の現場すらなくなってきたと言うことです。

 お年寄りや女の人でも、年間100日から200日山で働いて、現金収入があったので、自家用の飯米しか採れない山田の農家でも、生活が出来、子供を育てられたのですが、最早、田舎が好きとか嫌いとかではなく、生活基盤がなくなったのです。
 カメラは エンサイン・セルフィックス820
この周辺です

by je2luz | 2008-03-15 12:51 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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