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LUZの熊野古道案内

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2008年 03月 14日

熊野の旅 天然記念物 獅子岩

 『天然記念物』とは自然が生み出したもので、その存在自体が貴重で保存に値するものに国がお墨付きを与えるものです。
 少しずつ増えるので、日本中では一杯あるのだと思います。
 『天然記念物』とは、歴史的な資産とはいささか趣が違うものです。それは、『天然』がついているからです。
 つまり、天然の産物だから、保存のためとは言え、『加工』はしちゃあいけないのだそうです。上屋をかぶせることなどは構わないようですがね。

 これを取り上げたのは、熊野の名勝、『鬼ヶ城』と『獅子岩』は単なる『名勝』ではなく、セットで『天然記念物・熊野の鬼ヶ城附獅子岩』と言う風に指定されているのです。
 両方ともに、正体は『石英粗面岩』らしいです。ほぼ同じ時期に海岸が隆起して地上に現れたようです。長い年月の間に、波による浸食と地上に出てからは風による風化浸食が進んで奇岩を生み出したようです。
 しかしこの二つは、学術的価値よりは、観光面でお墨付きが欲しかったから指定を取り付けたような感じです。
 これは、近年の『世界遺産』と同じみたいです。
d0045383_11241338.jpg

 写真は『獅子岩』の顔の部分です。
 アングルは少し違うのですが、上のが昭和39年(1964)の頃のもので、下のが平成20年(2008)、現在のものです。
 少々、顔付きが変わって来ています。
 この岩は、先日載せた写真のように、本来、青味がかった硬い岩です。しかし、風雨にさらされると劣化して、砂岩のようにこするだけでボロボロと砂状になって取れてくるものなのです。つまり、日に日にやせ衰えているわけです。
 毎日毎日、風化が進むのですから、突出部分の落下もあります。
 私が知っているだけでもこの獅子岩の顔部分からの欠落が二回、鬼ヶ城の千畳敷の天井からの欠落が一回あります。
 下に人がいれば、『即死間違いなし』です。

 『天然記念物』なのですが、鬼ヶ城は少々岩が欠け落ちても簡単には形までは変わりませんが、この『獅子岩』は寄る年波で下のあごがどんどん痩せています。
 この顎が無くなったのでは、『獅子』には見えなくなります、
 風化のサンプルにはなっても、『名勝』としては情けないものになります。

 今から20年ほど前に、これの風化に対策を講じようと、調べたことがありました。
 技術的には、砂岩のようになった表面を特殊樹脂などで固定してこれ以上の風化を止めることは可能なようです。大きな岩とは言え、対策ととらなくてはならない部分はさほど広くありません。
 この面では、解決しそうだったのですが、時の文部省の『天然記念物』の担当部署で、許可が出るかどうか打診した所・・・
 『獅子岩は天然記念物です。 風化が進んでそのような形になったもので、形に価値があって指定したのではなく、鬼ヶ城と一体として、海岸隆起や浸食作用がはっきり分かる、学術的価値で指定したものです。したがって、人為的な保存処置などは趣旨に反するので認可は出来ません。』   と、言うものでした。
 『ごもっとも』
 『当たり前』 ・・・ の、話なんですがねえ・・・

 そこで、私が言ったのは・・・
 『天然記念物なんて外しちゃえ!』  なのですが、熊野のほうもお役所がらみですから・・・
 『そんな恐ろしいことは出来ません』 と言うことで止まっちゃいました。
 興味のある方は早めに見に来てくださいよ。
 大きな獅子岩なので、下あごが欠けてきても、入れ歯を入れることも出来ませんからね。

この周辺です

by je2luz | 2008-03-14 11:52 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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