LUZの熊野古道案内

je2luz.exblog.jp
ブログトップ
2007年 12月 11日

熊野の旅 木本の間取り 玄関・土間

 家に一歩入るとものすごく暗いのが古い町屋の特徴です。
 これは、軒が深く、低くて光が入りにくいと言うこともあるのですが、家の中の柱や壁が煤びて真っ黒になっているからでもあります。
 左右に窓が無いと言うこともありますが、玄関を入ってすぐの土間の部分でも暗いのです。
 入ってきた光はこの黒い柱や壁にすっかり吸収されてしまいます。
 こうして写真を撮る時に、壁や柱に露出計を向けると、露出計の針がすっと下に張り付いてしまいます。
 木本は暖かい所ですから、囲炉裏をどんどんたいたというわけではないはずなのですが。こうした土間の一番奥に作られた『おくどさん』の煙が長年の間に家中を完全に黒く染めます。
 日本の古い家が長持ちする理由は、太い柱を使ってあることもありますが、最高の防腐剤としての煤やタール分が家中の隙間まで入り込んで、木が腐ったり、カビが生えるのを食い止めて来たからです。
 踏み台に登って届く範囲は乾拭きで磨き上げられていますから、まさに『黒光り』しています。
 元々、油気の多い『紀州桧』の柱で、放って置いても光ってくるものを、煤をまぶしながら長年かけて磨き上げてきたわけです。
 大きな家には女中さんや男殿がたくさん居て、毎日の掃除、季節ごとの大掃除もやっていたので隅々まで手が入っています。
 戦後になって、そうした人手を入れられなくなっても、磨き上げた柱などは光を失いません。
d0045383_1181686.jpg

 この写真は、家の真ん中辺から表通りを見たものです。
 今式の玄関よりははるかに開口部は大きいのですが、やっぱり中は真っ暗です。

 玄関の天井が異常に低いのにお気づきでしょうか?
 木本をはじめとする町屋に多く見られるのですが、手を伸ばせば届くような高さに天井を張ってあります。
 天井の桟がものすごく太くて、「3寸の4寸」などと言う桧材が使われています。今の二階の床の根太なんかよりはるかに頑丈ですが、上に二階がのっているわけではありません。屋根裏を利用した、物置があるだけです。
 湿気が無く、保管場所には優れているのですが、使い勝手は良くありません。出し入れもはしごを使ってしなくてはならないので、季節によってごっそり入れ替えるものや、使わなくなったものを上げておくのに使われたようです。
 屋敷が細長いので、中庭部分に納屋とか蔵があったのですから、出し入れの多いものはそちらに仕舞っていましたからね。
 玄関の天井が低いのも、一つの作法のようなものだったのでしょう。
 カメラは コダック・メダリストII・エクター100mm
この範囲です

by je2luz | 2007-12-11 11:29 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://je2luz.exblog.jp/tb/6716918
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]


<< 熊野の旅 木本の間取り 中の間       熊野の旅 木本の間取り 『店』 >>