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LUZの熊野古道案内

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2007年 10月 01日

熊野の旅 松 

 日本の海岸を表す言葉に、『白砂青松』というのがあります。
 日本人にとってゆるやかに広がる砂浜と防風林の松林、その前に広がる青い海が海岸の理想像なのでしょう。
 事実、昔の日本の海岸はそうした光景が当たり前だったのです。
 営々として地元の人たちによって守られてきた松林がその風景を作り上げたのですが、戦後になり輸入パルプ材に付いて来たと言われる『松くい虫』の媒体する『線虫』によって急速に松は枯れて行き、のほんの海岸から『白砂青松』は消えて行きました。
 砂の方も全国の山間部に作られたダムのためにやせ衰えて居ます。
 今では、『白砂青松』の代わりに『テトラ・堤防』と言うコンクリートむき出しの海岸が増えています。

 この、『松』と言う植物は人為的に育て上げなければ松林にはならないようです。勝手に生えてきて他の植物を押しつぶして待つだけの林を作ることは無いようです。
 痩せ地でも、乾燥地でも、塩気の来る所でも生き延び、高く育ち、寿命も長いので防風林にはむいて居ます。それだから、全国各地で防風林として育てられてきたのでしょう。
 今、七里御浜では松の大木は数えるほどしかありません。事実上、壊滅しています。
 ここの松が枯れ始めたのは全国でも一番早い方に入ります。
 新宮、鵜殿にパルプ工場があり、輸入パルプ材が貨車で膨大に運び込まれたことと、気候温暖で松くい虫にとっては住みよい場所だったのが被害が早くから広がった要因でしょうね。
 私が子供の頃、多分、昭和30年代には松の植林が始まっています。
 松林が切れていた『井田舞子』に大量の松が植えられたのが大規模植林の始まりでしょう。
 ぎっしり植えられた松は将来きれいな松林になると期待されたものです。
 場所は今の。紀宝町の道の駅・『海がめ公園』の周辺です。
 すでに、50年ほどになってきているのでしょうが、松林にはなっていません。
 事業主体は営林署だったはずですが、育林に関しては江戸時代の奉行所の人たちよりヘタだったようです。
 植えっぱなし、人も通れないような密書区状態で放置したので育つものも育たなかったようです。
 これ以降も、松林の駆れ込みが激しくなってからは、枯れた松の伐採と、植林は続いてきました。
 しかし、木を切って金にして配分することの好きな「木喰い虫」のお役所では・・・おまけに、赤字赤字の連続で管理はまともにされませんから、松林の再生は出来ていません。

 松と言う植物はものすごく強そうでも実際は結構気ままの植物のようです。
 適当な間隔をあけてもらい、下回りには他のややこしい植物が生えるのを嫌い、下の地面もやたら落ち葉が積もってベチョベチョするのは嫌いなのだそうです。
 普通の植物、樹木なら好きなはずの腐葉土たっぷりの場所は嫌いなのだそうです。
 全国の松林の受精が落ちたのは、プロパンガスなどの普及期と一致するという学者が居ます。
 昔は民家の近くの松林はかまどで火を起こす時に使う「しば」として松葉がかき集めて持ち出され、それとともに、地元に人が松林に生えてくる余分な雑木などの下生えを退治していたから、松林が保たれていたのだそうです。
 「しば」の需要の低下と住民に対し、一木一草たりとも取らさない、枯れ枝でさえ拾わせない、立ち入りさえ禁止する営林署の体質、管理方法が松林消滅に拍車を掛けたようです。

 七里御浜は見事なまでの松林から、見事なまでの温帯性のジャングルへと変身を遂げています。それはそれなりにきれいな物です。
 松の代わりにくすのきなどが大きく育って、防風林としての役目も少しは果たしています。
 低い高さの潮風だったら、外に堤防が出来たことと、真っ暗に茂ったいまの密林の方が防いでいるかもしれませんね。
 松林と言うものは、足元の方でも風通しの良いものですからね。
 松くい虫・線虫に対する耐性のある松が確立するまでは、樹齢が30年ほどになってくると枯れ始めてしまい、効きもしない消毒をする今の松を植えるなら、原生林に近いままの方が良いのかもしれませんね。
 毎年7月頃、松原は消毒液のにおいがむんむんとし、立ち入り禁止になっています。
 消毒を始めて20年を越しますが、松枯れは止まりませんでしたね。でも、決められたことは粛々として追行するのが仕事だと心得ているようです。
 数えたことも無いのですが、『七里御浜』20Kmほどの間に高くそびえる松は一体何本あるのでしょうかね。
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 カメラは ヤシカフレックスD
この範囲です

by je2luz | 2007-10-01 11:25 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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