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LUZの熊野古道案内

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2007年 07月 17日

熊野の旅 高潮対策・地元とお役所 続き

 熊野市木本町の堤防は下準備中に住民が計画をキャッチできなかったこともあり、そのまま着工され、続行されました。しかし、全戸の住民が書名欄に判まで押してある陳情書の重みはかなりのものです。さらに、工事が完成する前に、この新堤防を波が越えるという事態も発生しました。
 三箇所ほどで越えたのですが、旧堤防が残された状態だったので、国道や人家には波は到達せずに済みました。我が家のすぐ裏でも盛り上がるように波が越え、後にはかなりの砂利が残されました。越えた塩水は左右に分散され、出口になったところの旧堤防の切れ目から滝のように落ちましたが、この状態なら全く問題はありません。
 時の市長も、署名が出た段階で新堤防に疑問を持ちましたし、この事態で住民の言う危険性を認識しました。
 この災害では、国道42号線が西郷川の出口の導流堤が崩れた巻き添えで陥没、長期にわたり通行不能になると言う事態も発生しました。
 この高波は『台風』ではなく『台湾坊主』だったのです。
 9月の秋空。快晴の下で起きた災害でした。
 波長の長い、スピードの速い、大きな波により簡単に越されたのです。
 この事態を受け、翌日には市長・県港湾課長・市議会そろって東京への陳情が行われました。おりから、日曜日に発生、その日の夜に決定、朝一番出発と言うことで、公金の用意が出来ず、職員が個人的に用意した金で出発すると言う異例の展開でした。
 行き先は当時の『運輸省』です。
 ここで起きた幸運な事態・・・
 対応に出た若い技官、若いといっても東京大学卒業の超エリートです。
 災害内容と、七里御浜の砂利減少の現状を説明する中でのやり取りに・・・
 熊野市『浜が急速に痩せていますから、この新堤防が出来たからといって、旧堤防を取り壊したのでは、危険極まりないのです』
 技官『私は学生の時に旅行で熊野に行き、獅子岩のそばで一日遊びましたが、きれいで良い浜でしたね。大きな石や小さな石が層を成した見事な浜でしたが・・・』
 熊野市『その浜から大きな石は消えています。。今では砂に近い物がほとんどになっています。』
 技官『そんなに変わったのですか?』
 熊野市『歩いても、足がめり込まないところが増えてしまいました。普通の地面みたいなところが増えましたね。』
 技官『それじゃあ、波の勢いは死にませんね・・・』
 熊野市『そこで何とか対策をお願いしたいのですが・・・』
 ・・・・・
 技官『そう言う現状なら・・・ちょっと待ってくださいね・・・』
 ・・・・
 技官『これしかないですね・・・七里御浜を救うのは』

 といって取り出したのが、沖合いの海の海面下に作る『潜堤』のイメージ図でした。
 そして、その年の国会には『木本港潜堤工事水槽実験費用』が計上された予算書が提出されると言う、超高速な対応になりました。
 まれに見る幸運にここ木本がめぐり合ったのです。
 応対した技官が七里御浜を知らなかったら・・・七里御浜を気に入っていなかったら・・・そして、その技官が超エリートで発案したものをすんなり通せる人でなかったら・・・実現しなかったものです。
 この水槽実験の結果、外海でも潜堤工事は可能と言うことがわかり、先に着工されたのが常滑方面の潜堤工事でした。
 ここその後で木本沖潜堤も着工されましたが、折からバブルの崩壊、公共事業の削減で工事は中々進みません。
 途中で船のための切れ目は作りますが、木本漁港から井戸川河口までの間、600mほどに底辺が200mもある巨大な人口岩礁を海面下2mまで積み上げるものです。
 ここの海は深いです。少々テトラを放り込んでも形を成しません。それでも、毎年少しずつ投入を続けています。
 私もこの陳情に出かけた一人で、災害の実態を肌身に感じる場所に住んでいるということで、説明役をさせてもらいました。署名活動のときの実行犯も私でした。
 口約束ですが、この潜堤が完成して、木本の町が安全になるまで、古い堤防も取らないという事になっています。
 この仕事の根底は『住民パワーの集結』にあります。
 ムシロ旗を立てても役所は動きません。
 地元と中央のマスコミをうまく利用させてもらい、役所にはお願いするのです。じんわりと圧力をかけながら・・・柔らかな物腰でなくては物事は聞いてもらえません。及び腰でも聞いてもらえません。それに、タイミングが合わないと実現しません。
 難しいですね・・・
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by je2luz | 2007-07-17 11:34 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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