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LUZの熊野古道案内

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2007年 06月 13日

熊野の旅 しじみ

 川があり海がある場所、河口のある場所と言うものは、干潟があり『アサリ』などの貝がとれ、河口に汽水湖があれば『シジミ』が取れると相場の決まったものです。
 ところが、この紀伊半島の南の方では海が荒すぎるので河口には『干潟』は出来ません。ここより北のリアス式海岸の湾の奥に流れ込む川の河口には小さな干潟がありますが、外洋に面する所では泥が堆積すると言うような悠長なものは出来ないのですね。
 熊野川のような水量の多い大河は別格ですが、おおよそ小さな川というものは満潮になると潮が逆流して川の水位が上がる物です。
 ところが、七里御浜に流れ込んでくる小さな川は、高潮の時しかそんな現象が見られません。
 減少したとは言え、膨大な量の砂利によって普段は河口はきちんと開いていないからです。それに、砂利を押し出してしまうほどの川が無いからでもあります。
 井戸川、志原川、市木川、阿田和川と20kmの間に4本の川が海に流れ込みますが全部同じようなものです。
 国道42号線を走ると、すぐ背後には紀伊山地の山並みが延々と続くので、当然その水を集めた川があっても良いのですがね。奈良まで続く山並みですが、この五本の川に流れてくる水は、国道から見えている山並みのこちら側を向いている、一並びの山に降った雨の分だけなのです。
 その裏側の斜面から奥に降った雨の水は硬い岩盤にさえぎられ、海に出る場所を探して延々と山の裏側を走り、熊野川となって新宮・鵜殿の間でようやく出てくるのです。
 小さな五つの川は河口が詰まり、背後に沼地を作ります。そこには高潮の時には潮が逆流して来ますから、せっかくの平地も水田として活用できません。
 それを防ぐのに堰が作られたのです。
 そして、その堰と海の間に出来た小さな沼地のような部分だけに『シジミ』が生息します。
 かつては『井戸川』河口の旧・亀齢橋のところにも生息していたのですが、防潮用の排水トンネル『カルバート』が出来てから居なくなったようです。
 今でも、『シジミとり』をしている人を見かけるのは、市木川の河口だけになりました。業として成り立つほど取れるような面積も無いですからここのシジミを食べたことは無いです。
 シジミと言うやつは、汚れたような河口の泥の中に生息するので、取れる場所を見ると食べたくなくなるものですね。しかし、その、泥ゆえにおいしいのでしょうね。
熊野の旅 しじみ_d0045383_856195.jpg

 カメラは クラウン・グラフィック + シュナイダー・ジンマー210mm
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by je2luz | 2007-06-13 09:00 | 熊野


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