木本の町屋ではそんなに古いものはありません。古そうに見えても明治末期から昭和初期の物です。木造住宅の寿命からするともっと古いものがあってもよさそうなのですが、台風や津波の影響でしょうか・・・
狭い間口の敷地に無理やりねじ込んだような家で、古い家は平屋建てです。せいぜい屋根裏部屋を作ってある程度です。
外壁が接しているような状態ですから、屋根は切妻です。寄せ棟だとか入母屋なんて作りようがないのです。
お屋敷らしくなっている所でも屋根は簡単なものです。
この理由は明らかに台風対策です。
毎年襲ってくる台風と豪雨の前には家の外観よりそれに耐えられることが大切なのです。
おまけに、間口が狭く奥行きの深い敷居ゆえに間取りも自由にならないのですから、中々特徴のある家は作れません。
家のあちこちに職人さんがその家にあっているだろうという一寸した意匠を施してあります。
これは物置の明り取り窓です。
こんな格子は泥棒にとっては全く意味はありません。
内庭に立っていて家の中を通らないと中庭に出られない家の構造ですから、これは防犯ではなく、物置が閉鎖空間になり、狭い中庭を圧迫しないようにという大工さんの気配りのようです。
こんな一寸した工夫の以外しかないほど良く似たつくりなのが、古い町屋なのです。