木本町は地域の拠点として賑わったと書いてきました。事実、今は本町や記念通りといったメインストリートでも店が減り取り壊されて空き地まで増えてきました。よそでは『シャッター通り』などと呼ばれるようですが、木本ではシャッター付きの店舗に改装することなく細々とやっていた店がなくなるのですからシャッター通りにはなりません。店先の戸を普通の家風に直すくらいです。
かつての木本では表通りは勿論横道と言われる細い道にもお店が並んでいました。今でも、八百屋とか魚屋は細い道にあります。本町などに店を構えるのは大きな店だけだったのです。
この古風な佇まいの家は良くみると小さな陳列(ショーウインドウ)を持っています。この家は今のメインストリートの記念通りから一歩入ったところにあります。表の角にあった時計屋の隣で四辻からは見える所です。
陳列の横には下をタイルで張ったモダンな格子の入った出窓・・・いかにも昭和前半の建物です。
私どころかこの近所でずっと商売をしておられる方もここが何であったか考えないと出てこないほどですが、小さな呉服屋さんだったそうです。木本には老舗の呉服屋さんもありますが、こうした小さなお店でも呉服屋さんがやれたと言うことは近郷からの買い物客で賑わったからでしょうね。
私に家の近所でも、もんぺと着物を売っていた店もありました。それできちんと子供も育てられたのです。
こんな風なお店もどんどん無くなってゆき、寂しくなってゆきました。地方の町は皆こうして小さくなってゆくのでしょうね。人間が老いると縮むように町も老いると縮むようです。
カメラは
コダック・シグネット35・エクター44mm
熊野三山と熊野の地図へ ←←←←をクリックすると案内図が開きます。