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LUZの熊野古道案内

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2006年 07月 17日

熊野の旅 熊野路の食べ物

 昔の熊野では夏になるとやたらと食べられていたのが、写真にある『半白キュウリ』です。 
 この品種は熊野だけではなく昔は全国的に多く作られていたようです。
 青いキュウリに比べると一寸瓜に近い歯ごたえのあるものです。今風のサラダには緑の品種の方が合うようです。
熊野の旅 熊野路の食べ物_d0045383_12484257.jpg

 写真のキュウリは太り気味に見えますが、この品種はすぐに太ります。太って黄色くなってくるのですが、大きくすると種の部分はニュルッとしていますからおいしくありません。種の部分をとって、皮もむいて食べる辺りは瓜と同じですね。
 これほど太ると、今式ですと大きすぎるのですが、昔はもっと太らせました。女の人の二の腕くらいまでにしましたね。太らせたものは糠味噌漬けやきゅうりモミにして食べたのです。果てはキュウリの煮物もありましたね。私はこの煮物が大の苦手でした。
 物が乏しかった頃にはこのキュウリは便利だったのでしょうね。ことに、『キュウリモミ』は実に良く食べられていました。元々『ナマス』を良く作るところですから『キュウリナマス』になるのですね。
 薄くスライスしたキュウリに塩を一振りして揉みます。汁が出てしんなりすると塩気を落として絞ります。この時に、しゃきっとした歯ごたえが良く残るのが『半白キュウリ』なのです。
 揉んだキュウリだけのときもありますが、生節を削ったものやシビ(マグロ)の角切りなどが入っています。実に簡単で、酢を使うので食欲も増進するし、便利な夏の食べ物だったのでしょうね。
 今ではこの品種は少ないのですが、私の庭では作り続けています。そして、自転車の前の籠に積んで町を回ると、『まー懐かしいよ・・・一本呉れるかえ・・・』と、貰い手が出てきます。
 『キュウリいらんかえ?』と声を掛けて、『あるよ・・・』と、答えた人でも、『半白』を見ると。『それやったら欲しいよ・・・』と手を出してきます。
 ただし、これはお年寄りだけですね。
 かくさように、昔はこのキュウリを皆さん食べていたのです。

by je2luz | 2006-07-17 13:05 | 熊野


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