人気ブログランキング |

LUZの熊野古道案内

je2luz.exblog.jp
ブログトップ
2006年 03月 12日

熊野の旅 気候風土と日本人の原風景

 気候風土によって山に生えている木は勿論のこと、住居の形まで変わってきます。
 室生などに見られる吉野の建物は雪深い北国と同じ急傾斜の屋根を持つものです。これは若狭や信州など雪国・北国に共通するものです。日本だけではなくドイツなどの雪国も屋根をとんがらせて雪が積もりにくいようにしています。
 近代に入り、こうした急勾配の屋根は軒が深くかぶってきて暗くなるとか古臭いとかの理由で建てられなくなっています。その分、雪下ろしなどを頻繁にしなくてはならなくなっているようです。
d0045383_10244633.jpg

 このような雪国風の建物があり、山があり、畑や田圃がある・・・こうした風景が『田舎』の典型的なものとして受け止められることが多いようですね。
 雪解けー青空ー南風ー こぶし咲く あの丘・・・・
 この演歌の世界が日本人の持っている『ふるさとの原風景』のようです。
 こうした観点からすると、切妻の小さな家の多い紀州路、熊野路は都会の人から見た『なんとなく懐かしい景色』からは少しずれているかもしれませんね。
 この少しのズレと言うものも観光面では結構大きいのです。
 信州や飛騨などに旅行すると地場産品・民芸品もたくさん売っていますし、観光客も喜んでそれを買い求めます。それが秋田産の漬物であろうと東南アジア産の民芸品であろうと疑いも持たないで買ってゆくことが多いのです。これは、お客さんの中でそうした地域に『田舎』を求める気持ちがあり。そうした地域の風景はその『田舎の原風景』にうまくはまるからでしょうね。
 紀州路には余り立派な建物も少なかったのです。この辺りの田舎家は小さな切妻の建物で『杉の皮』で屋根を葺き、皮押さえに足場丸太を置きそれを川原で拾ってきた平たい丸石で押さえると言うものでした。まるで鎌倉時代の庶民の家のようなものでした。
 杉皮葺きといっても、お寺の屋根のように分厚く葺くのではなく薄くかろうじて雨が漏らない程度に葺いたものです。
 こうした田舎家は昭和30年ごろにはトタン葺きになおされて、田舎家風ではなく物置風になってしまいました。写真のような屋根がトタン葺きになっても『田舎家風』なのとえらく違います。
 私の見たところでは、この熊野風田舎家は一軒のありませんね。又、復元もされていませんね。
 近年まで『杉皮』は少しずつ生産されていたのですが今では杉皮を剥ぐこともなくなりました。さほど難しいものではないのですが、需要がほとんどなくなっています。
 変な会館を建てるくらいなら、むかし杉皮葺きだった建物をもう一度元に戻して純然たる熊野の民家を復元する方が良い様な気もするのですが・・・
 それを復元しても、日本人の持つ『田舎の原風景』とは少し違うでしょうね。むしろ、時代劇の風景かもしれません。日蓮や親鸞辺りが出てくるような・・・

by je2luz | 2006-03-12 10:51 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://je2luz.exblog.jp/tb/2814538
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]


<< 熊野の旅 高速道路一部供用開始      熊野の旅 番外 宇陀市室生区 ... >>