土地とか川とかの呼び名はそれなりに謂われがあったり地元での愛着があったりするものです。
町の名前とかは合併やら住宅表示やらで変えられたものも多くありますね。
一悶着あったりもするようです。
南紀で一番の大河は「熊野川」のはずです。
北山川水系と十津川水系を合わせて新宮で海に注ぎます。
これが「建設省」で名前が変えられて「新宮川」になっていました。
いまから30年ほど前に吉野熊野総合開発によるダムが造られ、流域の様子がずいぶん変わってしまいました。
その頃は「熊野川」と呼ばれていたのに、いつの間にか鵜殿の国道にたてられた看板が「新宮川」に変わっていました。
私が議員になった頃、「なんで?」と聞いたところ、「川の名前は河口の町の名前になる」なんて説明でした。
地元での了解もなしで建設省と国土地理院がが変えちゃったのです。
折しもダムの水利権更新時期なので、熊野市議会に「熊野川水系対策特別委員会」を設置しました。
すると、熊野市から「熊野川を名乗るのはやめてほしい」なんて申し出がありました。
「冗談じゃない! あの川は昔から熊野川と呼んできているし熊野市議会の委員会の名称に使っていけないなんておかしい!」と、そのまま「熊野川水系対策特別委員会」を名乗りました。
事のついでにm紀宝町・鵜殿村などに働きかけると、そうした町村も「あれは新宮川下はない。熊野川だ。」ということでした。
新宮市も「新宮川はいささか違和感がある」ということで、建設省などに「地元で使われてきた由緒ある川の名前に戻してほしい」と申し入れ、しばらくすると、看板が「一級河川・熊野川(新宮川)」と新宮川というのが括弧書きに入りました。
そうして経緯で、あの川が「熊野川」そして水系も「熊野川水系」になっていたのです。
ただ・・・
ここに来て、またまた国の意向なのか「新宮川水系」という名称が表に出てきて、熊野市もそれを使っています。
何だかなあ・・・
「お国の意向」に迎合して異議を唱える人間もいなくなったようですね。
あの頃の議員さんも市長さんも「あれは熊野川なんだ!」と、声高に叫んだのですけどね。
たかが川の名前、されど先祖から慣れ親しんできたものなのに・・・
これはこのことだけにとどまらない行政の自立性のなさを示しているように思います。