一時期、全国各地で『入り浜権』と言う環境に関する住民の権利を主張する訴訟が起こされたりしていましたね。海辺に住む住民と浜との関わりは今に比べ昔はもっと深かったのです。
ここの七里御浜でも昔はもっと地元の人が浜を利用していました。
私が子供の頃には目の前の浜はもっときれいでした。それと言うのも今は砂利が減ってしまい細かい砂と地面のようなものが現れて泥っぽくなっています。それに今のように犬の散歩に浜を使う人はいませんでした。犬も少なかったし放し飼いが多かったようです。こうしたことで今と昔では浜は随分変わりました。
昔はこのきれいな浜が住民の生活にもっと利用されていました。
一般家庭ではシーツを洗濯すると浜にもって行き砂利の上に広げて干しました。糊をつけたシーツをピンと張った状態で乾かすにはもってこいでした。夏なら砂利も焼けているので一時間も掛かりません。布団を干すのも浜を使っていました。あちこちにシーツや布団が広げられていたものです。今では見かけません。
魚屋さんは干物を作るのにこの浜を使っていました。浜に杭を打ち竿をかけてサンマの丸干しを作ったものです。非常に良く乾いたものです。
漁師さんは網を直すのに浜を使いました。広い浜なら魚網を広げて悪い場所を探すのも簡単です。引退したお年寄りの漁師さんなどが一年中浜に座り込んで網を直していたものですが、今では大敷網以外の漁がなくなったのでそうした光景もほとんどなくなりました。
堤防の上では中学生くらいの若い漁師町の子が竹ざおに紐と丸太をつけたものでカツオ釣りの練習をしていたものです。この練習無しではカツオ船には乗れませんからね。しかし、この光景も随分前から見たことがありません。
浜と住民を遠ざけたものに国道があります。以前は町中を通っていたのですが昭和40年代の改修で海岸堤防のすぐ内側に移されて町と浜を分断したので浜に出るには大きな道路を渡らなければならなくなったのです。私のように浜のそばに住んでいても年に一度も出なかったと言うこともあるのです。それだけ遠くなってしまったのですね。
カメラは
イコンタ523/16