LUZの熊野古道案内

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2005年 12月 03日

熊野の旅 自然と人力

 以前に触れましたように、ここ熊野から吉野に掛けては、戦後の復興期に原動力になる電気を作るために河川をずたずたにして沢山のダムを作りました。その結果、急流『熊野川』が紀伊山地を削り取って押し出してきた大量の砂利が来なくなりました。
 潮流の早い熊野灘に面した入り江でもないここに、20Kmにおよぶ弓なりの砂利浜を形成できたのは、この多雨地帯の熊野川が際限なく砂利を硫化してくれたからです。それが事実上人間の欲のために止められてしまったのですから、自然はそれに対するしっぺ返しをしてきています。急速な浜の減少です。
 これを止める・・・遅らせる唯一つの方法が、水の中に堤防を築き、砂利が深みに落ちるのを防ぎながら高波も防ぐと言う『潜堤』と言うものです。十数年前の台湾坊主による国道の陥没と言う災害の後で『運輸省』にお願いして水槽実験・・・実施にこぎつけた工事が毎年ほんの少しずつ行われています。
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 海の上で見るとこの作業用台船は飛んで渡れそうに見えても100mほど離れています。熊野の海は山がそのまま海に落ち込んで、目の前が日本海溝というところですから、波打ち際以外は背が立たない海です。こんなに近くでも水深が10m以上に達します。したがって、人間が作って運ぶものを積み上げれも全然盛り上がってきません。おまけにしたが砂利の斜面ですから大量に積み上げてしまわないとすぐに流されてしまいます。地上では何トンもあるコンクリートブロックも水中ではパスカルさんが言うように軽いものですからね。
 ここの海は今のシーズンは水溜りのように静かな時期です。この時期しかこの作業が出来ないので冬場だけ、そして、海に中の仕事はめちゃ高い土木工事なので予算の関係でほんの少しずつ毎年やっています。
 工事区間はわずか700mほどですが何年掛かるやら・・・いまは基礎部分の一部を並べている段階です。効果が出るほどのものは築けて居ない段階です。海面下2mまで積み上げなくては高波を抑える効果はありません。
 ダムを作るのは大工事と言っても簡単なものです。そして自然をずたずたにするのは簡単です。しかし、牙をむいた自然をなだめるのは至難の業です。
 アスワンハイダムでアフリカ他陸内部の気候を激変させ砂漠化した人類が今度は中国の真ん中で三峡ダムを完成させました。熊野川の比ではない大河をせき止める影響はどれくらいのもの出そうね。南米でもイグアスの滝の流れをせき止めた南米一のダムを見ましたが、川をせき止めていると言うだけで不気味なものでした。
 人間の欲というものは、自分たちを育ててくれる自然をも破壊します。
 神々の里とは言いながら神々の住まいの熊野の山を破壊した付けはどこまで続くのは想像も出来ません。

by je2luz | 2005-12-03 12:29 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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