前にも出てきましたが、熊野と尾鷲の境には矢ノ川峠と言う標高808mの峠があります。この高い峠が熊野と尾鷲を隔てていましたから同じ紀州藩にありながら海伝いの漁師以外は意外と交流がなかったのです。ここに道路が通ったのも昭和になってからです。そしてこの峠を通らずに「大又トンネル」「矢ノ川トンネル」の長い二本のトンネルで標高を半分に下げたのが昭和45年(1970)ごろです。今では全線通行と言うわけには行かず、尾鷲側からだけ登れます。それと言うのも尾鷲のテレビ・電話・行政無線なども中継所がこの山頂にあるからです。
このように中継所がある場所と言うのはアマチュア無線家にとってはありがたい場所なのです。マイクロウェーブが届くと言うことは障害物がなく見通しが利くということです。アマチュア無線でも超短波帯になると障害物が越えられないからです。そんな訳で私はここにも良く登りました。長年サボっていましたが一昨年の正月にはここに登って雪の残る山頂でコンテストに参加しました。下界と違い夏でも夜中には上着なしではいられないところですから冬場は昼間でも大変なところです。無線でもやるのでなければ一人で冬場に上って行くところではないですね。景色はすばらしく良いです。熊野のほうと違い見える海岸線はリアス式で空気が澄んでいれば富士山も見えます。年に何回かと言う幸運に恵まれればですがね。
これは熊野無線クラブが熱心だった頃矢ノ川峠での「JCCサービス」の時の写真です。