以前にも書きましたが、熊野古道もこのあたりのように海岸沿いを通るようになると季節感が乏しくなります。
新緑の頃ははっきりと季節感があり夏はセミの声でそれを感じあれますが、ハイキングの季節とも言える『秋』の季節感には掛けるところが多いですね。
理由は人工林の杉桧の山が圧倒的に多いと言うことと、雑木山も亜熱帯性からおんたいにかけての照葉樹が多いからです。
広葉樹でも落葉性のものは黄色くなったり赤くなって『もみじ』と言う状態になって秋の山を彩ってくれます。
ところがこのあたりの雑木は椿・うばめがし・青木などの常緑の物が多いのです。山桜も多いですがこれは紅葉せずに早めに葉を落としますね。
紅葉がきれいになるには夜の気温がうんと下がる必要があるようですが、この辺ではさほど下がりません。
こうした条件から、山が黄色くなったり赤くなったりしにくいのです。
このあたりの自生する木では比較的葉が黄色くなるのは
『櫨・はぜ』と言う木です。この木は昔
『蝋』の原料として栽培されたこともあります。
元々日本の暖地では自生していたものです。大きくなると10mほどの大木になります。
この木は若葉の頃葉に触ると
かぶれるのでかなり嫌われます。体質により差が出ますが人によっては触らなくてもそばを通るだけでかぶれることもあります。これは『ウルシ』と同じです。
ここあたりでは、やたらとこの櫨の木があります。秋になると鈴なりに実をつけます。
木の実は鳥の目を引くために黄色や赤の色になるものが多いのですが、この櫨の実は青から褐色になるだけの地味なものです。しかし、鳥が食べるのかやたらと色んなところに生えてきます。我が家の庭にも何本か生えてきました。
櫨の実は親の木が紅葉し落葉してもしっかりと木の上に残っています。南天の実の様なまん丸な実が一杯固まっています。
この実を開いてみると、中は蝋の固まりです。だから蝋を回収するのは難しいことではありません。この実を茹でて冷やすだけで表面に白い蝋が浮いて固まります。
パラフィンから蝋が作られるようになるまでは日本の蝋はほとんどこの『はぜ蝋』でした。
街道沿いなどにも沢山生えています。海岸沿いには一杯あります。これからのシーズンはぜの実が目立ってきます。大きな木が多いので簡単には採れませんし、この木を放置してあるのは足場の悪いところばかりです。
有馬松原に様に足場によい所にある物もあります。秋になればかぶれることも減りますから、アレルギー体質で無い方なら、ハゼの実を採種されて蝋燭を作ってみるのも面白いかと思います。
カメラは
セルフィックス16-20