LUZの熊野古道案内

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2005年 09月 18日

熊野の旅 熊野の自然 楠

 熊野をはじめとする紀州には『楠』(くすのき)が沢山あります。それも、巨木が沢山目に付きます。
 神社の境内は勿論、よく手入れされた民間林でも楠の巨木は立っています。人工林では枝が横に広がる木なので邪魔な物なのですが、巨木ばかり残っています。

 日本ではある程度の巨木になると、その木に霊が宿るとみなされて御神体や御神木になることがあります。このあたりの楠はそれ並みの物が多いです。
 神社の境内の場合特別邪魔にならない限り全ての木が守られて古木、巨木になります。私たちの見る神社はそうした巨木たちの中にあり、神々しさを感じさせるものです。
 この社殿が、今流に作られた庭園の中にあると、社殿ばかり目だって浮いてしまいますね。とても、ありがたみなど無い感じです。自然に伸びた木々が在ってこその神々しさだと思います。

 なぜにここまで『楠』の巨木だ多いのか?
 楠は成長が早く数十年で大木に、100年もすれば巨木になります。しかし、これだけでは民間林に邪魔な楠が残るはずはありません。

 楠の使い道
 これは、もともと『樟脳』(しょうのう)の原料として使われました。樟脳の『樟』も『クス』で同じ木を指します。つまり、クスのエキスなのです。楠を製材すると工場内に居られないほど樟脳の匂いがします。何年も乾燥させた厚板を製材しても同じです。この効果を期待してたんすの引き出しに使われていることもあります。私の家の作り付けの洋服ダンスの引き出しの側板には楠を使っています。気休めかもしれませんが、当時は製材業でしたから、楠の板がふんだんにありました。
 現在で一番良く使われるのは『彫刻』です。きめの細かい材質、刃物に対し優しくてきれいな肌が出る特質、虫に食われない、巨木がある・・・など、うってつけの素材です。彫刻には材木の芯が無いものを使わないと割れが入る危険が大きいのです。そうなると、少し大きな物を一本木で彫るとなると巨木が必要なのです。
 この彫刻用材は製材してから、小さいもので5年、少し大きいもので10年くらいは寝させないと乾燥と狂いを逃がすことが出来ないとされています。現地でも製材して転がっているものが少ないので彫刻家も大変かと思います。

 なぜ楠が残ったか?
 これは一重に『樟脳専売』のおかげです。昔々の紀州藩の留め木は明治になり解除なりましたが、それ以降に防虫剤としての樟脳を生産するには楠が欠かせませんので樟脳を専売とすると共に、その原料の楠は民有地であろうと伐採には許可が要るようにしたのです。おかげで、民有林の中の楠もそのまま保護された形になりどんどん巨木化したのです。

 楠は割合と発芽しよいらしく、このあたりではあちこちに生えてきます。
 鳥が運んできたのでしょうね。我が家の庭にも生えてきています。邪魔ではないので放置していますが、あまり、塩には強く無いらしく、空風台風が吹くとばっさりと葉を落とします。
 昨年は海岸線の楠は一斉にやられましたが、強い木ですから次の年には分からないだけに回復します。
 こうして、巨木が多く、あちこちの市町村の巨木調査では上位を占めていますし、案内地図にもなり様なものが多いです。
 わざわざ伐採して出材する様な物ではないので、このあたりの楠の巨木はこのまま残るでしょうね。
d0045383_1271784.jpg

楠の新緑は透明感のある黄緑色です。モノクロで撮るとこのようの乳白色に写ります。赤外で撮ると真っ白な雪のようのなります。
カメラは イコフレックス2a・テッサー75mm

by je2luz | 2005-09-18 12:13 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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