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LUZの熊野古道案内

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2005年 09月 14日

熊野の旅 熊野の周辺 下北山村 池原ダム

 戦後、アメリカのニューディール政策の日本版として計画された、『吉野熊野総合開発』で作られたダムの中で最大のものが、下北山村にある『池原ダム』です。
 堰堤の高さ111mという巨大なものです。目的は発電です。戦後の復興期にこの池原ダムをはじめ熊野川水系を細切れにしたダム群で大量の電気を起こし関西方面に送りました。それと共に、この紀伊山地に点在する集落から労働力として若者をも吸い上げて行きました。
 ダムの完成が昭和39年(1964)で、過疎の始まりと一致します。

 この巨大ダムはその上流に点在した集落を全て飲み込んでゆきました。範囲は今も一部が山の上に移転した『白川』をはじめとし、先ごろの河合のすぐ下流まで及びます。
 ダム沿いの道路は昔で言えば山のずっと上の方を走っているのです。なにせ、100mの堰を作ったのですからね。
 この池原ダムの発電放水は下流の『七色ダム』にそそいでいます。そして、やかん電力を利用して七色ダムから池原ダムに揚水しています。
 七色ダムはいつでも満水状態で満々と水をたたえていますが、池原ダムはものすごい豪雨のすぐ後以外は半分くらいの水位です。
 最近はバス釣りのメッカとしてテレビ放映されていますが、いつも赤茶けた山腹がむき出しになった、不気味な姿で移っています。

 このダムが異常に水位が下がったままになることに関し、電源開発に質問したことがあるのですが、『必要量の発電を行うので水位が下がるのです』という分かった様な分からない様な返事でした。計画水量がおかしくて満水に出来ないのか、『ダム欠陥で意識して水位を下げているのか・・・』とも訊ねましたが、これは無駄な質問でした。
 答えるわけの無い質問ですからね。
 しかし、この水位の低さは私にとって、やはり不自然なものです。

 ダムの堰堤上を抜けると、山越えで尾鷲市に抜けることが出来ます。ただし、この道路は通行止めになっていることが多いので、走行計画に入れないほうが良いと思います。通れても、落石が多く、良い車ではもったいないです。

 池原ダムは集中豪雨の後で白濁することがあります。これは先に述べたようにこの上流の山に地盤が悪く、大規模な山腹崩壊が起きることがあるからです。十数年前の豪雨の後では2年経っても泥が沈殿せず、中間層に留まって、下流の水質を悪化させました。この対策のため、ダム湖の水を全部放水し、取水口の位置を変更して白濁水を早く放出できるように改良しました。一トンいくらと言う発電用水を抜く交渉はかなり難しいものでしたが、おかげさまで、それ以降は吐く濁水が何年も滞ることもなくなりました。
 ただ、ダムに溜まった水は半分死んだ水になってしまうことは確かです。
 新宮市はこうしたダムにせき止められた水ばかり流れてくる熊野川の最下流で飲料水を取水するため、この周辺では一番水がまずいと言われています。

 国道169号線および十津川沿いの国道168号線ともども寒く日当たりの悪い山間部右派知るため、積雪、凍結が当たり前です。従って、冬季にはたっぷり凍結防止剤・塩化マグネシウムをまきます。清流のはずのダム湖に春になると赤潮が発生します。これが吉野熊野総合開発の置き土産です。

山をも飲み込むほどの高さの巨大なダムです。

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カメラは KODAK RETINA 1a XENAR 50mm2.8

by je2luz | 2005-09-14 06:10 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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