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LUZの熊野古道案内

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2012年 06月 29日

熊野の旅 古い道 評議道

 熊野古道は古い道です。
 熊野信仰と結びつけて「世界文化遺産」になっちゃいました。
 でも、「道」という物は人間が同じところに住むようになった頃から発達したのでしょうj。
 最初は同じところを通るので踏み固められただけの「けものみち」の一種だったのでしょう。
 それが段々手を加えられた物になり、距離的にも難易度も考えた合理的な物ぬ変わっていったのでしょうね。
 だから、古い道ってえものは一杯あります。
 この辺の山中には今は使われないけど昭和の初め頃には迷うことなく集落間を歩ける道が縦横に走っています。
 人が通らなくなって、草や雑木が茂り、路面も柔らかくなって崩れていった物もあります。

 そうした「人のための道」は明治の頃には「荷車道」になり、大正時代頃から「新道」と呼ばれる「道路」に変わって行きました。
 「新道」になると自動車が通れるように設計された物になったのです。
 でも、その頃の「乗合自動車」は今の二トン車ベースのマイクロバス程度でしたし、トラックもそんな物ですから、道幅は狭く、カーブもきつい物です。
 トンネル工事が困難だったので、なるべくトンネル無しで済ませるため、山の低い所を目指して登るルートでした。
 ルート的には人の歩いていた道を元に、ジグザグ、つづら折りで高度稼ぎ、勾配を軽減した物が多いです。
 私達のように、「新道」時代の人間から見ると、「古い道」は新道を串刺しにするようにまっすぐ山を登り山を下って近道しているようです。

 木本から飛鳥町小阪に向かう「評議・ひょうげ道」もそんな感じです。
 木本高校のところからジグザグに「評議峠」をめざす道路は「新道」だった物で、旧国道です。
 その道を貫くように石段の「旧・旧評議道」が通っています。
 道なりに歩くと遠いのですが、その石段道を駆け下りると、すごく近いのです。

 子供の頃…うんと小さい頃…木本まで映画を見に来るのにその道を使いました。
 日本映画は出張してくる物を見ましたが、「ターザン」なんてのは来ないので木本まで、ガキ大将の引率で歩いて見に来たのです。
 木本の映画館でもその当時の映画は雨が降っていましたが、移動上映の物は土砂降りのようなのもあるし、時々、稲光のように画面が明るくなって止まってしまいましたね。
 今のより弱いベースのフィルムだし、傷んでいるのですぐに切れましたからね。

 子供の頃には、この旧国道をショートカットする評議道の他に、新しい国道・佐田坂をショートカットする道で大泊へ泳ぎに行ったこともあります。
 道路を歩くのの半分も距離の無いほぼ直線でしたからね。
 この道は、途中に砂防ダムが出来てからはまともに通れなくなりましたね。

 このようにして、便利な道も歩く人が居なくなって消えて行きます。
 今の人は、便利な道が分からなくなったので新道を歩きますね。
 随分遠回りなんですけどねえ…

 古い「新道」も一部は廃道になり、一部は林道などとして残っています。
 「評議越え」の旧国道も、一時期は通行不能でしたが、重要なバイパス、非常用道路として通行可能なだけの整備はして貰っています。
 良い道路が出来ても一本では駄目なんです。
 「道路網」というように網の目になっていないと、非常時、災害時にはすぐに孤立しますからね。
 今も、大馬地区は新しい幹線道路が通れなくなって、遠回りの、大馬ー評議峠経由で木本へ出ています。
 この道が通れなければ更にもう少し遠回りですからね。

 でも、こうした道路の補修などは一般の人には分からないものでしょう。
 自分が使う必要に迫られるまではねえ…

 こうした道の途中には、綺麗な水の出る「水飲み場」もあって、綺麗に片付けられていた物ですが、今では荒れているし、私などもその場所が分からなくなってしまいました。
 この辺の山には「名水」が一杯湧いているのですけどね。
 「水大師」なんてのもあるくらいですから…
熊野の旅 古い道 評議道_d0045383_10534829.jpg

 
 
熊野市周辺地図です
 

by je2luz | 2012-06-29 10:54 | 熊野


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