2012年 06月 11日
今はほとんど見られなくなった習慣に「さなぶり」があります。 田植えが終わった頃に行われたもので、田の神様がお帰りになるのを送る行事だとか言われています。 全国的にあった行事のようですが、農耕人口、水田百姓の比率が下がると共に集落の中心行事では無くなっていったようです。 私が子供の頃には「さなぶりの運動会」なんてのがありました。 今と違い、梅雨に入るまで田植えをしていたのですから、終わるのは梅雨時です。 梅雨の時に運動会をやるのですから、良く降られました。 梅雨の止み間にやる感じですから、運動場はゆるゆるの時が多かったです。 だから、「運動会」=「こける」というイメージが定着していました。 百姓に関わる事柄が生活の中心だったし、学校も集落の中心だった時代です。 この運動会の前には「田植え休み」があり、秋には「稲刈り休み」があったのですからね。 神社の祭りにも休んだし…お寺の花祭りにも半ドンだったし… 「ゆとり教育」なんて言う、お仕着せでは無く地域に溶け込んだものでした。 今でも、「さなぶり」自体はあるようで、集落によってはきちんと日にちを決めているようです。 私が子供の頃には、この日に、田の水口にお供え物をしていましたね。 供えていたおかずがどんなものだったのか記憶にありません。 つまり、子供が喜ぶようなものでは無かったと言うことでしょう。 水田は水が全てを握りますから、「水口」にお供えしたのでしょうね。 この後は「虫追い」なんてのがあったようですが、今では観光行事として復活している「丸山千枚田」くらいでしか見られません。 たいまつを持った子供があぜ道を歩き回って火に飛んでくる虫を焼くなんてもので、「飛んで火に入る夏の虫」という習性を利用した農作業のようですが、どれだけ効果があったのやら・・・ ただ… 農薬が無かった頃の百姓が害虫が増えないで欲しいと天に祈る気持ちが伝わる行事ですね。 藁草履で、夜のあぜ道を走り回る… まむしの居る地区だったありますから、私はあまりやりたくないです。 この「丸山千枚田の虫送り」は観光目的でお役所が復活させたものです。 今年は7月14日土曜日の夜に行われるそうです。 例によって、道路が封鎖されますので、「ツアーで来い」とのことです。 企画は「熊野市観光公社」です。 この団体・・・「公社」と名乗っていますが、公式名は「有限会社・熊野市観光公社」という法律的には普通の会社なんです。 自分で出す記事などの時には「有限会社」を書きません。 おかしな通信販売の会社的なやり方なんですが、法的には問題ないとか… 千万単位で補助金を垂れ流す会社なんですが、こうした行事は独占的に扱えます。 中味は、昔のような子供がたいまつを持って歩くものの他には、企画屋さん?デザイナー?が考えてくれた明かりが一杯棚田に置かれた景色が見られるようです。 もちろん。これも税金と言って良いでしょう。 こちらは「紀和町ふるさと公社」という別の外郭組織がかんでいるようです。 税金のと言う乳先をうまく分散させていますし、こうした組織の決算などは「報告事項」といわれ、議会での賛同も要らないのです。 これも法的には問題が無いのだそうです。 市民からは遠い所で、よその人のために垂れ流し…などと言ってはいけないのだそうです。 これが、「地域活性化」の切り札なんですからね。 山の中の夜の行事ですから見物人が押し寄せることはありません。 カメラマンは少々集まるようです。 これが、各地で行われている「観光」の縮図みたいなものです。 ネットを調べてみてください。 皆さん褒めまくっています。 だから、素敵な企画なのでしょう。 こんな風にとらえる私は「非国民」ならぬ「非市民」でしょうね。 どんなものか是非見に来てください。 税金を考えなければ「素敵」でしょう。
by je2luz
| 2012-06-11 11:09
| 熊野
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