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LUZの熊野古道案内

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2011年 10月 23日

熊野の旅 外貨稼ぎ 地場産業

 田舎が生き延びるにはやっぱりお金が無くてはなりません。
 かつてこの辺からは、米・炭・材木・石・魚などが運び出されていました。
 それが他所からお金を運んできました。
 そんなに儲かるもので無くても、たくさんの人の人件費になり地域を支えたのです。
 それがあって成り立っていたのが地域の商業なのです。

 今では米も消費地に成っています。
 炭なんて趣味の世界で輸入品です。
 材木は全く産業にならず、山林も手入れできない有様です。
 石も以前のように毎日トラックが何台も走る事は無くなりました。
 石の方では一時期「白蝋病」の患者で変な風に潤った事もありますが、今ではほとんど打ち切られています。
 つまり、物を市外に輸出して外貨を稼いでくる物がなくなっているのです。
 国の構造、外国為替の問題…色々ありますけどね。

 今の時代、一番街かを持ってくるのが「年金」で次が「公務員人件費」かも知れません。
 その上に乗っかった商業なのでしょう。
 なのに、商業イベントが増える一方…

 私の家も製材所をやっていました。
 その頃は、飛鳥5軒くらい、木本で2軒・有馬で一軒、井戸で1軒など市内でもたくさんの製材があって、東京を中心に出荷していました。
 今では4軒ですかね?出荷しているのは事実上1軒?
 製材すら出来ないのですから山の木に値段が付かなくて当たり前かも知れません。

 石の切り出しも、かつては新鹿や大泊でやっていました。
 国道42号線・311号線や県道新鹿佐渡線を走るとその跡が見られます。
 これも随分前に廃業し今では尾鷲市賀田町で残っているようです。

 これらが下火になりかけたときに、私を含めた4人が地場産業を興そうと「すのこ」などを作る協同組合を設立しました。
 まったく手探りからでしたが、メンバーに雑貨屋さんが居たのでその仕入れルートを逆流させる事で流通経路を確保しました。
 製材所の廃材に近い檜の「ラス下」「貫」を最大限利用する事でした。
 その延長で「縁台」も作りました。
 携帯用の「レジャーテーブルセット」を考案しました。
 これは雑誌の表紙やインテリアの本などにも載っていましたね。
 丈夫なガーデンテーブルも開発しました。
 私達が始めた頃に、「すのこ」の釘は真鍮でした。
 しかし、真鍮もさびます。黒くさびの跡が付きます。
 ステンレスの釘は良いのですが錆びないので乾くと抜けてきますし、くぎの頭が少しでも浮いてくると裸足で登る物ですからけがが予測されます。
 と、言う事で「ステンレス・スクリュー釘」を使って作り始めました。
 数年で全国のすのこがこの仕様に変わりました。
 こうした製品の開発と設計は材木の規格や郷土を知っている方の私が手がけました。

 縁台もそれまでの物は不思議な事に「足取り外し」方式でした。
 これを「ちゃぶ台」方式を採用し折りたたみにしました。
 これにより搬送時の厚みが半分になり輸送コストが下がりました。
 今ではほとんどこの様式ですね。

 杉の端材の使い道が無いので「押し入れすのこ」を作って、これも幅を半分にしてホームセンターから持って帰りよいようにしてそこそこ好評でした。

 ふんだんにありそうに見える「檜の端材」もこの辺だけでは全く足らず、和歌山県日置川町から三重県松阪市までの広範囲から集めるまでになり、ものすごく単価の安い600円ほどのすのこで1億を超す売り上げまでに育てました。
 儲かる仕事ではありません。
 しかし、大勢の人と下請け木工所に働いて貰えました。

 しばらくすると、日本の商社は中国に製造を依頼し外材のを持ち込み始めました。
 最初は。「押し入れすのこ」でしたが、中国の田舎で育っている「桐」に目を付け「桐の押し入れすのこ・二枚組」なんて私達のと同じパターンで出してきました。
 杉と桐…押し入れに使うなら「桐」に軍配が上がるのです。
 私なら迷わずに「桐の押し入れすのこ」を買います。
 おまけに、桐の押し入れすのこが杉より安い!
 合理化のしようが無い勝負ですから、急速に追い出されましたね。

 このように、「総檜・縁台」は「天板のみ檜縁台」に駆逐されました。
 分ってくれるのはほんの一部の人だけ…
 「総檜」とは書いていませんから違法でもないし…

 趣味の木工で自分たちだけが何とか食べるのでは「産業」ではないし…
 かくして、悪戦苦闘しましたが事実上木工部門からは撤退せざるを得ませんでした。
 まさに悪戦苦闘・・・時間と私財をつぎ込んでの戦いでした。
 商才が無いから…と言えばそれまでですがね。

 この経験からみて、役所に頼りっきりの「地場産業興し」の合唱が遊びに聞こえるのです。
 本当に飛び込む気のない人が・・・
 アイデアだけで産業になるほど世界は甘くないです。
 町の人に自覚が無ければなおさら育ちません。
 もし、目指すのが「地場産業」なのだとしたらね。
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熊野市周辺地図です
 

by je2luz | 2011-10-23 10:16 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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