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LUZの熊野古道案内

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2005年 08月 04日

熊野の旅 古道歩きの食べ物 4

 熊野から吉野へかけての広い範囲で昔は日常的に食べられていたものに『茶粥』があります。
 いかにも貧しい山間部で少ない米を大勢でおいしく食べるか・・・そんな背景を思わせる食事です。
 作り方は簡単・・・紀州の番茶を木綿袋に入れ鍋で煮出します。その中に米を入れて柔らかくなるまで煮るだけです。仕上げにほんの一つまみの塩を加えるだけと言う簡単な料理です。
 白粥の類と違い、本来はさらさらのお茶の中に色の付いたご飯が入っている程度の、ものすごい水増ししたものです。一合の米で3人前たっぷりの量に炊き上げます。
 この茶粥にはゴテゴテしたおかずは合いません。漬物や梅干が合います。せいぜいサンマの丸干しか鯵の丸干しが少々・・・そんなものです。台湾などと同じで朝食に食べることが多かったものです。
 腹いっぱい食べたところで、ほとんど水と言うものですから、ものすごくお腹が空いたでしょうね。私が子供の頃には泳いで帰ってくると茶粥が井戸に吊るしてあって冷えた茶粥をオヤツ代わりに食べたものです。ご飯の少し前に食べても夕食に触らないほど消化の良いものです。
 これだけシンプルな料理ですから、鯵を決めるのはお水とお茶です。
 昔は上水道ではない山水や井戸水を使っていましたから、紀州御影の岩盤を流れてきたおいしい水でした。
 お茶に関しては『番茶』を使います。
 ところが、このあたりの番茶は普通に売っている番茶と違うものです。売っている番茶は『二番茶』『三番茶』で春に出てきた新芽の一番おいしいところを玉露や緑茶に摘んだ後で、あわてて作って延びだしたインスタント的な新芽を摘んだものです。
 田舎では、玉露だ緑茶だなんて上品なお茶は作りません。従って。冬の間から準備した香りも味もたっぷり含んだ新芽全体を全部摘み取って番茶にしてしまいます。製法は荒っぽいし、揉み方もいい加減なので葉っぱが暴れまわっていて見かけや色ではお世辞にも良いお茶とはいえません。しかし、これを焙じて入れたお茶は一味も二味も違います。
 お茶の入れ方も茶粥も煮出しましたが、普通にお茶を入れるときも煮出します。
 やかんに一杯お湯を沸かし、沸き立ったらその中にお茶の葉を放り込んで一煮たてします。そして、そのまま飲みます。すぐに飲むだけではなく、やかんまま放っておいて一日中飲むのです。開拓期のアメリカンコーヒーがポットの中にコーヒーを放り込んで煮立て、それを冷めてもそのまま飲むって言うのと同じですね。
 この辺では『お茶を入れる』とは言わず『お茶を沸かす』といいますが、まさにお茶は沸かすものです。
 このおいしいお茶は冬場の寒い山間部で採れます。熊野ですと『流れ谷』といわれる、山ひとつ越えた大又川沿いなどが産地です。しかし、お茶は自家用に作るものです。農地や屋敷などの端っこに邪魔にならないように植えてあるだけです。生産用ではないので整枝もせずに自由放任で伸ばしています。延びすぎると適当に鎌で刈り取って伸ばしなおすということです。
 こんな状態なので、本当の『おいしい番茶』は中々手に入りません。
 暴れまわったままの葉っぱですから、大きな袋に入っていても目方は少ないです。その代わり、煮出しで入れますから結構あるということです。
 このおいしいお茶があってこその茶粥なのです。奈良などの料理屋の茶粥とは別のものです。

カメラは IKONTA 523/16

by je2luz | 2005-08-04 15:10 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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