LUZの熊野古道案内

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2011年 04月 10日

熊野の旅 七里御浜 木本堤防の想定内 2

 新堤防を作っている間に、波が越えてしまっても、公共事業と言う物は続行されます。
 ことに、国が決めたやつは中々方向転換できません。
 
 この新堤防に関しては私が筆頭人となった有志で木本町と井戸町馬留の直接堤防に面して生活している住民ほとんど全戸の、「不十分で波が越える恐れあり」と言う判子を押した陳情書がすでに出されていました。
 つまり、住民の経験の方が国県の「伊勢湾台風でも大丈夫」と言う根拠の無い太鼓判より正しかったのが立証されたのです。
 私たちは工事にいちゃもんをつけたのではなく、事実を伝え、善処を要望したのです。
 そして、新堤防が全部できるまでに越えてしまったのです。
 それも、快晴の空の下、遠く伊豆沖の台湾坊主の波で…

 国道の橋の落下と言うおまけまで付く被害が出たあとで、間髪を入れずに運輸省への陳情…
 運が良いことに、その時に応対してくれた技官が、東大の学生時代に旅行に来たここの浜で一日遊んで帰った経験がありました。
 『砂利が山のようになって幾重にも連なった良い浜ですよね。』…ということまで記憶していてくれたので、
 用意していた現状の浜の写真を見せ、
 「そんな浜はもう消えています、砂粒のような細かい砂利だけが残って、だらだらと波打ち際に向かって下がっているのです」・・・と、説明しました。
 驚いたような表情で写真を眺めていましたが、『潜堤しかないか…』とつぶやきました。
 そして、係りに命じて潜堤の概念図を持ってこさせました。
 
 『これなら効果はあると思います。 ただ、巨費がかかるのと、木本海岸のような外海での実績がありませんから…』 と言うことでした。
 わたしも「潜堤」と言う物は知っていましたが、お目にかかったことも無いし予算規模も分かりませんでした。
 でも、役人としては恐ろしく早い回答で…
 『この方法でやれるかどうか調べます。』と、動く約束をしてくれました。
 災害発生から24時間目くらいに霞ヶ関での交渉でした。
 そして、半年もなかった年度内に準備して、次の年には水槽実験にまで進んでくれました。
 木本にとっては、署名運動が生きたのに加え、たまたま運輸省の技官が木本海岸を知っていてほれ込んでいてくれたことが奇跡的な幸運だったのです。
 その陳情団に木本堤防に直接面して暮らしている二人の市議が含まれ、通り一遍の陳情ではなく経緯と事実を踏まえた説明が出来たのも良かったのです。
 こうした、波の怖さとか、堤防と波の関係などと言う物は少し離れた所に暮らす人にはわからないものですからね。

 かくして、水槽実験を行ってくれて、「木本海岸でも構築可能」と言う結論が出ました。
 落ち込みは厳しい、潮流は早い、食いつく岩盤が少ない、高潮常襲地帯…悪条件が揃っているのですけどね。
 当初の計画ではそれに耐えるために、巨大なものでしたが、作られたものは効果が同じくらいだと言う、少し小型のものになっています。
 海岸から見ても、影も姿もありませんが、電気のともるブイが浮いているので潜堤の位置が分かります。
 そして、それが出来た時から、台風の余波の波が堤防に当ることが事実上なくなっています。
 ただ、近年は台風のコースが異常気象のせいか、紀伊半島直撃にならなくなっているので本当のことは分かりません。
 しかし、直撃でなくても堤防に当たる所までは時々来ていたのにそれがなくなっていますから、「台風の高波」にはかなりの効果があるようです。

 木本海岸でも耐えられると言う実験データだあるので、ここの潜堤が完成するより前に、「常滑沖」「セントレア・中部国際空港」の波消しにもこの工法が採用されているようです。
 ここに比べれば「常滑沖」は穏やかなものですからね。

 またまた長くなっていますが、かくして、台風の高波に対する備えはかなり充実してきております。
 私が前回議員であった時に着工することに成り、休んでいる11年間も工事が続行し、50億を越す巨費を投入したのですから、効果がなくては困ります。
 しかしながら、相手は自然、熊野灘です。万全などと言うことはありえません。

 困ったことに、この潜堤は目に見えないし、長年工事していてもダンプ一台通るでも無し…
 沖で静かに台船がクレーンで巨大なブロックを沈めて組み立てているだけですから、部外者には良く分からない工事だったことです。
 海に面して住んでいる人間には効果が実感できても、少しはなれると「あんなもの、なんにもならん」と言う人まで居ますからね。
 まあ、高潮に関しては、全国で一番高い堤防と、その前にある潜堤で備えているし、もうすぐ着工予定の旧堤防撤去に関連して、「旧堤防があることでえられる対高潮の効果」を維持する追加工事の約束もどうにか取り付けるところまでこぎつけました。
 これも、住民パワーが力を発揮しています。
 この経緯は次に書きます。
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熊野市周辺地図です
 

by je2luz | 2011-04-10 09:30 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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