「人間バーベキュー」「坊主のバーベキュー」と言う言葉を記憶している人も少なくなったでしょう。
1963年6月11日・南ベトナム・サイゴンで起きた事件です。
ティック・クアン・ドゥックと言う仏教の僧侶が時のアメリカの傀儡政権・ゴ・ディン・ジェムの仏教弾圧に抗議してサイゴンの街中、アメリカ大使館前で自らにガソリンをかけて焼身自殺したものです。
写真・記録画像が広く世界に配信され世界中に衝撃を与えた事件です。
私は大学生でノンポリ写真部員でしたが、やはり衝撃を覚えたものです。
この後に、焼身自殺が続き、ベトナムは泥沼のベトナム戦争に追い込まれたのです。
そして、その事件の時に秘密警察の長官婦人が発した言葉が。「バーベキュー」だったのです。
世界中の非難を浴びその政権は倒れましたが、巨大な東西冷戦の代理戦争の力は止められなかったのです。
しかし、その先のアメリカ敗北の原因の一つでもあったのでしょう。
上の写真は当時世界に配信され衝撃を与えたものです。
下は、今も保存されている上の写真の後ろに写っている水色のオースチンです。
この僧侶が居たティエンムー寺と言う寺院が、フエにあります。
フエの大宮から4kmほど離れたところにあり、今でもその時にサイゴンに乗っていった水色のオースチンが残されています。
これは世界に配信された写真の背景に写っている彼の車そのものです。
この事件に衝撃を覚えた一人として、その車を見たときには思わず手を合わせました。
すでに、日本や世界からは忘れられようとしている事件ですが、忘れてはなら無いものを含んでいると思います。
王宮からタクシーで行って、待たせておいても3ドルもあれば大丈夫では無いかと思います。
対岸にある遺跡群を巡る船によるツアーも立ち寄るようです。
行かれる時はこの事件を心に留めてからにしていただきたいと思います。
かの僧侶も間がメタと思われる、本堂にある円窓の眺めです。
丸窓から眺めても、世界が丸く見えなかった時代だったのでしょうね。
ベトナムの地図です