今年も「鮎」の季節になりました。
熊野市内では「大又川」と合併で熊野市にやってきたうんと下流紀和町の「北山川」で鮎が捕れます。
「大又川」はダムでせき止められた熊野川水系の上流になるし、昭和20年代30年代のダム造りでは「魚道」なんて発想はなかったですから、「天然鮎」は居ません。
「湖産」と呼ばれる「琵琶湖産」の稚魚を放流したもので、一部には「七色ダム」で孵化したものが居るのではないかと言われるものです。
稚魚を放流して自然の川で成長するのですから、「準天然」でしょうね。
味の方は「天然」と同じでしょうけどね。
「北山川」は河口の新宮から紀和町までにはダムがないので、「天然鮎」「天然うなぎ」が遡上しています。
大又川から半世紀前に消えた生態系です。
ここで捕れている鮎の60世代ほど前の先祖様が大又川まで登ってきていたのです。
昭和37年とか38年に七色の工事がやっていましたからね。
先日、大又まで出かけた折に川を実ながら走りましたが、今年の梅雨は「大雨」が降っていないので。川底がコケの色で茶色でした。
水量は時々の雨で少し多いのですが、川底の「ごろ石」がひっくり返らないので茶色っぽいのです。
鮎はこのコケを食べて大きくなるのですが、コケなら何でも良いと言う訳ではないようです。
古くなって砂交じりの茶色いのでは本当ではないようですね。
それに、餌場が窮屈にならないと、「縄張り確保」の習性を利用した「友釣り」はうまく無いです。
昔から、大水が出ると川に出られなくなるのですが、それでも、鮎釣り天狗たちは、大雨が降って川の底が白くなるのを待ったものです。
鮎の餌場が減って、闘争本能に火が付きますからね。
普通の人は大水をちっとも喜ばなかったのですけどね。
外は久々の本格的な雨ですが、どれくらい降るのやら…
川のごろ石が動く雨量は一気に降る量が300mm以上でしょう。
いくら雨に強いところでも、一般の人は喜びませんね。
「国道42号線」や「311号線」「309・169号線」、さらには県道「新鹿佐渡線」「北山御浜線」など、道路が閉鎖なって動きが取れなくなりますからね。
でも、鮎釣りのほうでは大水を待つ人がいるでしょう。
川の状態以前に、鮎釣り人口は減少したみたいです。
友釣りの中心地の飛鳥中学校周辺でもウィークデイには人影がほとんど無いです。
去年も書きましたが、年々地元の天狗たちが老齢化して行って川に降りて来なくなったのです。
私の知っている「釣り天狗」「鮎キチ」の人たちも、70歳から80歳になっていますからね。
「天狗」が付いても、本物の天狗のようにいつまでも体が動く訳でも無いですからね。
ダムの補償金で始まった「鮎の放流」も最初は地元の福利厚生的な意味合いが大きかったのですが、今ではその色合いが薄れてきたようです。
伯母峰越えの道が良くなる時には、関西圏からの釣り客の増加に期待したものですが…
それに奈良県側の釣り場もダムで消滅するので期待が大きくて当たり前だったのです。
鮎の場合は釣るのに「鑑札」が要り、収入が見込めるのです。
山間部の観光源ですが、テクニックも要る釣りなのと、「バス釣り」のようにテレビとかがはやし立てなかったので、若い人の釣り人が増えなかったからでしょうね。
かつては、解禁日などには徹夜の場所取りまでした大又川の鮎つりも今ではゆったり釣れるようです。
よそから来られたら、国道沿いのあちこちの出ている「鑑札販売所」で「遊漁券」を買ってから川に入ってください。
監視人も巡回しています。
事故の少ない川ですが、増水時は十分お気をつけて…
熊野市周辺地図です