熊野から新宮までは20Km余りにわたって「七里御浜」と言われる砂利浜が弓なりに連なっています。
ダムの影響で痩せてきているとは言え、大井川の河口周辺のような大きな海岸線後退はまだ起きていません。
少し重い砂利とところどころにある硬い岩礁が陸を守ってくれているのでしょうか?
それとも、熊野の神々が神々の里を守っているのでしょうか?
今の季節、この「七里御浜」は車の乗り入れ禁止になっています。
この砂利浜は観光バスが走れるようなところではなく、本格的な四輪駆動で太目のタイヤを履いたもので無いと立ち往生するところですが、ジープタイプの四輪駆動車が増えてので、「走るために走る」輩も増えたのです。
乗り入れ禁止になっているのは、「海亀の産卵」のためです。
夜中に上陸してきて、浜の砂利を掘って穴の中に卵を産み付けます。
あとは、太陽の熱でほんのり暖かくなることを利用して孵化させるのです。
孵化した子ガメは一目散に波打ち際を目指します。
四駆のわだちがあると子ガメがあり地獄状態になって勧めなくなることもあるようです。
四駆車が卵の巣穴を踏み潰す危険性もあります。
自由にさせると夜中に走り回って、母ガメが上陸断念したりします。
と、言うことで、「七里御浜」全域が秋まで『車両乗り入れ禁止』になっています。
戦後しばらくして世の中が落ち着き、自然や生物に目が行くようになってから、全国の海岸線で「海亀の産卵」が報じられ、保護活動も始まりました。
それまでは、一部の人にとっては「海亀の卵」は「ご馳走」だったのです。
この海岸での保護活動の走りの頃には、今、「熊野古道の語り部」をやっておられる「花尻先生」も先頭を切ってやられていたように思います。
懐中電灯を持って夜中の浜を歩き回っていたのです。
今では、紀宝町に「海亀センター」などと言う物が出来て「人工孵化」をさせる様になりました。
半分以上は観光目的になった居るようですけど、保護には役立っています。
それでも、絶滅は防げても産卵が増えるところには行かないようです。
今年は5年ぶりとやらで、熊野市内での七里御浜での産卵が確認されたそうです。
重い海亀がのしりのしりと浜を匍匐前進するのですから、通った後はばれます。
私でも分かりますからね。
犬の散歩で松原方面に通っていた頃に見たことがあります。
亀ではなく亀の通った跡ですけどね。
この時期、民家の無い辺りの夜の浜辺で愛を語り合っていたら、亀さんが覗きに来るかもしれませんよ。
この「デバガメ」は間違いなくメスばかりです。
人間界の逆ですね。
人間の方が覗きに来ることは、七里御浜ではもう無いでしょう。
熊野市周辺地図です