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LUZの熊野古道案内

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2009年 10月 31日

熊野の旅 木本の「ひまえ道」について

 一昨日の「裏の粋」を書いたときに、ご質問いただきましたことについて少し書きます。
 木本では本町と平行に走る裏通り、「せこ」のことを『ひまえみち』(一部ではヒマイミチ)と呼んできました。
 今はこの呼び方をする人はほとんどでいなくなっていますが、そのあまり耳慣れない言葉の語源を考えて見ます。

「ひまえみち」
 広辞苑的に言うと、「ひま」は「隙」と言う字もあります。
 そして、「隙屋・ひまや」というのがあります。これは「他屋・たや」と言う物と同じだそうで、女性の月のものを不浄として忌み嫌った時代に「離れ」・「小屋」を作って隔離した所です。
 木本の「ひまえみち」もその「ひまや」から来ていると言う民俗学者の説を見たことがありますし、私もそう思います。
 表通りではなく、裏通りを抜けて、日が暮れてから今とは違う流路を通っていた町外れの「高城川・井戸川」まで身を清めるために通った道だそうです。
 まあ、それだけのために作った道では無いでしょうけどね。
 こんなに奥行きの深い敷地構成ですから。せめて裏に「せこ」位は通さないと逃げ場も無いですからね。

 この「月の物不浄説」に基づいた、隔離は日本中で結構行われたようですが、私が知るところでは、私の育った飛鳥や母親の里の下北山にもあったようです。
 屋敷の外、川の近くに粗末な小屋を立て、月の物の間、女性を隔離したと聞きました。
 本来、女性中心だった日本の社会がいつの間にやら、「女性不浄」にまで変化し、「女人禁制」なんてのが宗教の方でも政治の方でもまかり通るようになっていましたね。

 原始宗教は女性崇拝・女性器崇拝が多いし、日本でも神様の元締めの『天照大神』は女性ですよね。
 ものすごい矛盾なんですけどね。
 神に仕え、神と人間の橋渡しをするのも『巫女』さんなのに。片方ではのけ者にする…
 
 その実、女性には頭が上がらない…女性に惑う神官・高僧も多かったでしょうから、女性を遠ざけようとしたのかもしれませんね。
 姿が見えなければ少しは平常心が保てるでしょうからね。

 下々の方でも、そうした思想が広まってしまって「隙屋・ひまや」なんて物まで作る時代があったのでしょう。
 もっとも、ややこしい亭主から逃れるために「隙屋」に逃げ込んだ女房もいたとも聞きましたね。
 私が物心付いた戦後にはそんなものは無かったです。
 まだ、ナイロンの靴下が出来る前ですが、女性が再び力を取り戻しかけた時代でしたからね。
 市川房枝女史などが活躍した時代になっていましたから…

 と、言うことで…
 木本の『ヒマエミチ』はこうした語源からのものでしょう。
 子供などには説明しにくい物ですね。
 だから由来も伝承されず、木本の人でも知らない人が殆んどだし、意味の説明が憚られる様な呼び名は消えてゆくでしょうね。
 やっぱり、色っぽくも無いし…
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 カメラはコンタフレックスIV+35mm


熊野市周辺地図です
 

by je2luz | 2009-10-31 10:42 | 熊野 | Trackback | Comments(1)
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Commented by くまさん at 2009-10-31 22:35 x
Mr.LUZ-さん
thank you for your kind lecture about 'himaemichi'.


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