LUZの熊野古道案内

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2009年 10月 13日

熊野の旅 災害現場 熊野古道・松本峠

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 この写真に写っている石垣は、本来石垣ではないのです。
 熊野古道の石畳が90度回転して、下から見上げると石垣のように見えるのです。
 横の大きな木を見てください。ゴロンと横になっているでしょう。
 これが、先日の18号台風で道端の木が『根返り』して熊野古道を壊した現場です。
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 普通の目線で見るとこんな状態で、道の部分をそっくり抱き込んで根っこごと杉の木がひっくり返ったのです。
 だから、路面の石畳がまるで石垣のように見えるのです。

 18号台風は、このすぐ沖を通過してゆきました。
 台風としては普通程度のものですが、直撃は久しぶりでした。
 この台風は来る時よりも、通り過ぎてからの「返しの風」が強く、長い物でした。おまけに、普通は空っ風になる「返しの風」の時も、猛烈な雨を伴いましたね。
 木本では、屋根をごっそり持って行かれるとか、瓦を丸裸にされると言うような被害は出ていません。
 老朽家屋が多く、昔ほど屋根の手入れや葺き替えなどしない、管理が出来ていない家が多いのにこの程度で済んだのですが、駅前に抜ける道脇の岩山の木やこの松本峠の木のような長年、風雨に耐えてきた木の方に被害が出ています。
 台風が驚異的に大きかったと言うよりは、こうした里にある山の手入れ、管理ができていなかった面もあります。
 
 この松本峠の杉の木の場合、すぐ横の山が伐採されたのに、この道脇の木々だけを残したのも原因なのです。
 すぐ横の山の木々が大きかった時には、この木が山の始まり・・・山の斜面の一部に見えたのです。
 しかし、後ろを切ると、この道端の木々だけが一段高く聳える形になり、風を全部受け止めることになります。
 そんな条件で育つ木はそれなりの心構えで、根の張り方も変わるし、枝ぶりもその条件にあわせます。 
 しかし、松本峠ではこの数十年はその必要も無かったので、木の方も油断するところもあったでしょう。

 この現象は、私たち林業家といわれる種族ではみんな経験することなのです。
 山を伐採する時、素性がよく、今回の伐採を見送って、次回伐採する50年、80年先まで残して、更に大木で良い木(二代木、三代木)にしようと何本か残すことがあります。
 運が悪く、数年のうちに大きな台風が来ると、その残した「残し木」がこのように「根返り」したり、簿っきり居れたりするのです。
 だから、この災害も林業家から見れば、起きるべくして起きたことなのです。たまたま、運が悪く、伐採のすぐ後に風向きの悪い台風が来たと言うことなのです。

 「人間の足」と言う物は良く出来ているので。ほんのわずかに残った道の端っこを使って行き来できるので。この状態でも松本峠を歩くことは可能です。
 ものすごい崖のところで起きた物だと、残った部分にのるのは怖いですが、これならずり落ちても大した事は無いでしょう。
 役所も「通行止」の看板は出しましたが、通れない方向に綱を張らず、わざと通れるように張ってありました。
 災害復旧工事に入るときには仮設の歩道を確保するのでしょうね。
 工事としては難しい物ではないですが、今までの石を拾い集めての補修をするのでしょうか?
 「世界遺産」という金看板があるのできちんと「石畳」には戻すと思います。


熊野市周辺地図です


by je2luz | 2009-10-13 10:17 | 熊野 | Trackback | Comments(0)
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