熊野古道は古い道です。
きちんと整備された『東海道』とか『中仙道』などの五街道などとは違い、物資や軍勢まで通すような規格の物ではありません。
せいぜい、背負子や頭に載せて運ぶ程度のことが想定されていた道です。
だから、随分整備された『松本峠』でも道幅はものすごく狭いです。
「道」と言う字より「径」といった字のほうが似合いそうです。
杉木立の中の細い道ですから、唱歌「箱根の山」に出てくる、「羊腸(ようちょう)の小径(しょうけい)は
苔(こけ)滑らか」と言いたいところですが、『松本峠』はとても。『八里』の足元にも及びません。『里』ではなく、『丁』にしても全部で2丁ほどなのかなあ・・・
短くてもやたらと広くも無いし・・・肩が触れ合う程度の径ですからムードはありますね。
向こうから人が来れば、無条件ですれ違うと言うよりは、足を止めてお互いに少し譲り合う感じになります。
「尾瀬ヶ原」のように狭いわけでも無いですけどね。
でも、二人でムードを出して・・・なんて言おうにも、いくら私が『弱脚者の熊野古道』と呼ぼうと、ここは『松本峠』で『峠道』なのです。腕を組んで歩けるという物でも無いですね。
足元もそんなに宜しいわけでも無いし・・・
運動不足に人なら、少しは息も切れますしね。
熊野古道を歩きに来られる人の大多数は中高年の人のようです。
ことにグループで来られるのはそのようですね。
この人達も70世を越えた人たちです。
歩き始めて100mも来ないうちに…
『あかんなあ…何にもせんと居るとなあ…』と言いながら登ってゆきましたが、この峠なら残りは200mちょっとです。「何にもせんと居った」人たちでも楽しく歩きとおせます。
このように、『松本峠』は『熊野古道』を味わうには良いところです。
「世界遺産・紀伊山地の霊場とその参詣道」なんてとんでもなく広い物で、その大部分を占めるのは『熊野古道』です。200Kmにも及ぶ道筋で、残されているのは峠道ですから、ここを味わえば料理の味見以上に味わえると思います。
昔の人の『難行苦行』をうかがい知るのには楽すぎますけどね。
うんと『何にもしない人』の方が『いにしえの人』の気持ちが分かるかもしれません。
峠の傍の展望台から見える「光る熊野灘」「熊野三山から始まる紀伊山地」・・・息が切れていれば居るほど感動的でしょうからね。
カメラは
ミノルタα7700i+コシナ19-35ズーム使用
熊野市周辺地図です